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ジャパンライフ問題 特設ページ 日本消費経済新聞
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2020/10/19new

日本消費経済新聞2311号(2020年10月15日発行)

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ジャパンライフ元山口会長3回目債権者集会
使途不明金、解明されないまま「終了」
配当総額202万円、配当率0.016%
 詐欺容疑で逮捕されたジャパンライフの山口隆祥・元会長個人の3回目の債権者集会が 10 月6日、 東京家簡地裁合同庁舎で開催され、 約 5500 万円の使途不明金が解明されないまま破綻手続きを終了した。 配当できる金額は、 回収できた約 1080 万円から滞納税金約 365 万円、 管財人報酬 493 万円、 事務費用などを差し引いたわずか約 202 万円。 配当率は 0.016%にすぎなかった。 届け出債権額は、 200 人分の約 129 億円。 金融機関等が中心で、 破産手続きで裁判が中断している係争中の被害消費者の債権が一部含まれている。 全国ジャパンライフ被害弁護団連絡会の石戸谷豊代表は、 「使途不明金は 5500 万円以外にも相当あるはずで納得がいかない。 刑事事件の取り調べの中で、 闇に隠れたお金の流れが解明されることが必要」 と話している。 ジャパンライフの5回目の債権者集会は 12 月9日に開催される。(相川優子)

口座から引き出された6000万円
うち5500万円使途不明のまま
ひろみ元社長 破産手続廃止
配当できる財産なし
 ひろみ元社長の債権者集会も同時に行われてきた。 ひろみ元社長については同日、 配当すべき財産がないとして、 破産手続きを廃止した。 
 今年1月 28 日に開催された1回目の債権者集会で、 元山口会長の口座から約 6000 万円、 ひろみ元社長の口座から約 1800 万円が、 ジャパンライフが2度目の不渡りを出し銀行の取引停止処分を受けた 2017 年 12 月 26 日以降に引き出されていたことが明らかにされていた (2月5日号)。 当時は、 ジャパンライフ元取締役の安田真二容疑者 (詐欺容疑で逮捕) が社長となって立ち上げた 「健美学院」 (2018 年3月 16 日設立) の従業員の給与などに使ったと説明していると報告されていた。 
 しかし、 2回目の債権者集会 (今年6月 16 日) で、 破産管財人が調査した結果、 健美学院に使われた裏付けが取れた金額は、 山口元会長の 500 万円程度だった。 残りのお金が何に使われたのか、 山口元会長らが調査に協力せず、 使途不明とされていた (6月25 日号)。 
 同日の3回目の債権者集会後でも、 元山口会長の口座から引き出された 6000 万円のうち約 5500 万円、 ひろみ元社長の約 1800 万円についても使途は不明のまま。 破産管財業務を終了した。 回収された約 1080 万円は、 山口元会長が第三者に譲渡し、 別の第三者に売却された不動産の売却代金や和解金が大半を占める。 破産管財人から 「調査したが、 これ以上管財業務を継続しても、 さらに破産者の財産を集める見通しが立たない」 と説明されたという。 
 山口元会長は、 自身が所有する不動産を第三者に無償譲渡した事実があること、 ひろみ元会長も、 ジャパンライフ破綻後も8~10 万円の家賃に対し、 食費約 30 万円を支出したと説明したことなどから浪費があったとして、 破産管財人は 「免責不相当」 の意見を東京地裁に提出している。 
 債権者集会終了後に、 全国ジャパンライフ被害弁護団連絡会が会見して明らかにした。 同日の参加者は十数人だった。 
 同弁護団連絡会の石戸谷代表は、 債権者集会の中で 「長い悪徳商法の摘発の事例を見ると隠匿財産が海外にあるのがわかって還流してきた例もあるため、 刑事事件の進捗を見ながら、 継続してほしい」 と主張。 破産管財人から 「使途不明金とされてきた財産、 その他隠匿財産が分かればその段階で改めて手続きを取る」 と説明されたという。 
 石戸谷代表は 「お金の流れが解明されないまま、 こういう形で破産管財手続きが終了するのは、 非常に残念。 山口元会長の役員報酬は破綻直前でも月額 350 万円、 賞与は年間 1400 万円、 ひろみ元会長も月額 332.5 万円の報酬を得ていたわけで、 配当ができる状態ではないのに違法な配当も得ていた。 関連会社からの貸付金などいろいろな名目でお金が入っており、 これだけしかないのは全く納得がいかない」 と述べ、 合同捜査本部でのお金の流れの解明を求めた。 

山口元会長とひろみ元社長
破産手続き開始決定の経緯
 ジャパンライフ破産管財手続きの責任査定で、 山口親子が 68 億 8782 万円の損害を同社に与えたことが、 東京地裁で認定された。 これを踏まえ、 ジャパンライフ破産管財人が 2019 年7月3日に山口元会長に対し、 同年9月 11 日にはひろみ元社長に対し、 東京地裁に破産の申し立てを行った。 山口元会長は同年9月4日、 ひろみ元社長は同年 10 月9日に破産手続き開始決定を受け、 2人の破産管財業務が行われてきた。 債権者集会は2人同時に行われてきたが、 2回目の債権者集会後の9月 18 日、 詐欺容疑で逮捕され、 10 月8日には、 別の被害者への詐欺容疑で、 元幹部ら 12 人とともに再逮捕されている。 現在も拘留中だ。 

元役員2人の破産手続きも廃止
いずれも配当できる財産なし
 10 月7日には、 ジャパンライフ元役員の安田真二・元事業部長と松下正已・元総経理の2回目の債権者集会が、 それぞれ東京家簡地裁合同庁舎で開催された。 2人とも、 配当すべき財産がないとして破産手続きを廃止した。 
 免責については、 負債を免除して更生の道を歩ませるのが相当とするというのが破産管財人の意見だった。 これに対しては被害者の代理人らから反対意見が述べられ、 11 月9日までに意見書を提出し、 その後に裁判所が判断することとなった。 
 被害弁護団連絡会の石戸谷代表は 「2人は9月 18 日に詐欺容疑で逮捕されたばかりで、 破産手続きの廃止は早すぎる。 山口元会長の右腕となって違法なジャパンライフ預託商法を推進した元取締役2人が民事責任を免れるようなことがあっては到底、 被害者は納得できない。 免責不許可となるよう働きかけていく」 と話している。 
 役員責任の査定額は、 安田・元事業部長が 68 億 8782 万円、 松下・元総経理が 58 億 1500 万円。 2人とも 2020 年7月1日に、 東京地裁が破産手続きの開始を決定し、 同日1回目の債権者集会が開かれていた。

11:42
2020/09/28

日本消費経済新聞2309号(2020年9月25日発行)

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ジャパンライフ破綻から2年半
山口元会長ら14人ようやく逮捕
 警視庁と愛知など6県警の合同捜査本部は9月 18 日、 販売預託商法を展開し約 2405 億円の負債総額を抱えて破綻した 「ジャパンライフ」 (東京、 破産手続き中) 元会長の山口隆祥容疑者 (78) ら 14 人を、 詐欺容疑で逮捕した。 東京地裁が破産手続き開始を決定 (2018 年3月1日) してから2年半かかった。 100 万円から 600 万円もする磁気治療器を販売額の6%でレンタルし、 6%のレンタル料を支払う利益を生まない事業。 かつ現物が極端に少ない現物まがい商法で、 なぜここまで被害が拡大したのか。 消費者庁元職員の天下りをはじめ複数の元官僚らが同社顧問に就任し、 特許を授与し、 「桜を見る会」 招待状など安倍晋三前首相をはじめ多くの政治家やマスコミ関係者が広告塔に利用されたことで、 顧客や社員を信用させた。 高齢女性を狙い老後の資産を身ぐるみはがすこれまでにない悪質で特殊な詐欺事件の全容解明が急がれる。 被害者からは 「資金の流れを解明し、 少しでもお金を返してほしい」 「山口会長は、 正直にすべてを話してほしい」 「安倍首相の退陣、 桜を見る会中止公表を待ったかのような逮捕で、 幕引きしようという疑念もあるが、 どのような理由で山口会長が桜を見る会に招待されたのかも明らかにしてほしい」 などの声が挙がっている。(相川優子)

被害者切実な訴え「資金の流れ解明を」
「少しでもお金返してほしい」
地方マネージャーも逮捕
8人のうち7人のみ
 他に逮捕されたのは、 山口容疑者の娘で元社長のひろみ (48) ▽元取締役の安田真二 (62) ▽同、 松下正已 (61)、 元国際部ゼネラルマネージャーの石渡勝祥 (30)、 元営業部お客様相談室長の須山博行 (57)、 元財務部課長代理の幾世橋毅 (44) ―の各容疑者ら。 8人いた地方マネージャーのうち7人も逮捕された (2面囲み参照)。 
 警視庁生活経済課による逮捕容疑は、 自転車操業に陥り、 配当金の支払いを継続できる見込みがないにもかかわらず、 元本を確実に返済するなどとうそをついて勧誘し、 12 人から合計 8006 万 5000 円をだまし取ったとしている。 
 逮捕された元取締役の2人は、 それぞれ事業部長、 総経理を務め、 同社が 2017 年 12 月 26 日、 2度の不渡りを出して銀行取引停止命令を受け、 事実上倒産したあとも、 全国各地で説明会を開催。 消費者庁の的外れの業務停止命令と思い込みの報道で資金繰りができなくなったが、 「倒産はしていない」 などと説明していた。 
 消費者庁から2度目の業務停止命令を受けて間もない 2017 年5月 16 日、 約 1000 人を集めた都内ホテル会場で、 磁気ベストや磁気バンドを装着する体験を披露。 前屈したときに床から爪先までの距離が、 装着して 30 秒で 30㎝が 18㎝という具合に短くなり、 2つの商品の体験後にはそれぞれ同様に24㎝分短くなった。 同社社員が 「体の血液の1回りが 30 秒。 体が柔らかくなったということは、 血流がよくなる。 細胞が活性化し、 身体の中でがん細胞と闘っている」 などと説明。 山口元会長は 「日本人は癌、 心筋梗塞、 脳障害で亡くなっているが、 すべて血行。 血液の流れをよくする。 血液をきれいにするのが、 ジャパンライフ」 と勧誘していた。 
 元国際部ゼネラルマネージャーは、 海外統括責任者。 同社本社ビル売却代金のうち1億 3000 万円が送金された人物だ。 破産管財人による提訴が行われ、 そのお金で購入されたマンションが売却され、 労働実態がないにもかかわらず給与を得ていた母親への不当利得返還請求訴訟と併せて和解が成立している。 
 元お客様相談室長は、 顧客やマスコミ対応を担い、 山口元会長と連名で弁護団を中傷するビラなどを作成して配布していた。 消費者庁取引対策課元課長補佐の天下り問題で、 本紙が情報開示請求をした結果、 「現職中に元課長補佐がジャパンライフトップに面談を求める決裁文書 (伺い書) を入手したが、 この決裁文書はジャパンライフ職員が元課長補佐から受けたストレスを解消するために偽造したと供述」 したことが明らかになった。 これら一連の対応をしたのもこの人物と見られる。 消費者庁の調査では天下りは認定できなかったが、 伺い書は2通あり、 内閣府再就職等監視委員会が独自の調査で天下りを認定。 同委は国会で 「消費者庁の調査で天下りを認定することは可能だった」 と答弁している。 
 元財務部課長代理については、 多くの被害者が 「解約を申し出るとすぐさま自宅にやってきて解約を阻止する役割を担っていた。 あの時解約できていればと、 いまだに悔しい」 と証言している。

月の売上1人で6億円超も
ノルマ達成できると奨励金
 ジャパンライフでは、 約 80 店舗の店長を、 2~3店舗ごとに統括するエリアマネージャーが 20 数人 (時期により若干異なる) 配置されていた。 その店長やエリアマネージャーの上で、 いくつかのエリアを統括していたのが地方マネージャーだ。 破綻当時、 8人の地方マネージャーが配置されていたと見られるが、 逮捕者は7人に留まっている。 
 山口元会長からノルマが課され、 頻繁にノルマが達成できるか電話が入っていたという。 ノルマが達成できると奨励金が出た。 山口元会長は、 約 1000 人を集めた都内ホテルの勧誘会場で、 「○○地方マネージャーは、 2018 年3月の売上が6億 3000 万円で、 △△地方マネージャーに 1000 万円負けた」 などと話し、 売上高を競わせていた。 
 南関東地方でも、 悪質な勧誘が行われていたというがこの地区を担当していた1人は逮捕されていない。 「日本国籍ではないと見られるが、 なぜ逮捕されないのか疑問」 「ある地方マネージャー代理は、 相当悪質な勧誘をして1年で家を新築した。 何を理由に逮捕の線引きがされたのか疑問」 「なぜ、14 人なのか。 納得がいかない」 などの声が関係者から聞かれた。

被害総額2100億円か
被害実態いまだに不明確
 警視庁生活経済課は、 約1万人から約 2100 億円を集めたと見ている。 
 消費者庁は、 同社に対し4回の業務停止命令を出しているが、 正確な被害実態は明らかになっていない。 2017 年8月 25 日付で公認会計事務所が同社役員に提出した報告書しか報道できる数字がない。 2017 年度3月末時点での数字で、 負債総額は約 2405 億円。 預かった商品として負債に計上すべき預託取引額は約 1843 億円とされている。 
 消費者庁は、 2回目の業務停止命令 (2017 年3月 16 日) 時に、 粉飾決算が分かっていたにもかかわらずこれを明らかにしないまま、 外部監査を受け顧客に通知する措置命令を出した。 同年5月末までの回答を求めていたが、 同社は顧客に 「3月に初の月間売上 30 億円を達成」 などと通知。 何度も指導をし 「監査意見は意見不表明」 の通知を経て、 ようやく出てきたのがこの報告書だ。 
 豊田商事事件の被害額は約 2000 億円。 これを上回れば、 安愚楽牧場 (被害額約 4700 億円) に次ぐ、 戦後2番目の大規模被害になる。 捜査権がある合同捜査本部には、 早急な被害実態、 隠し資産を含めたお金の流れの解明を求めたい。 
 消費者庁の4回の行政処分は異常。 4回も行わなければならないのは、 適正な処分が行えていなかったことの裏返しでもある。 遅い上に、 処分内容も疑問だらけだ。 最初の業務停止命令以降、 会場に人を集めた大規模勧誘 (訪問販売に該当) が継続されていたにもかかわらず、 なぜ、 警察が業務停止命令違反で動かなかったのかも疑問がある。 同社は、 訪問販売や連鎖販売取引、 預託取引で処分すると、 今度はモニター商法、 リース債権販売と取引形態を次々に変えて営業を続けたが、 取引の実態は変わっていない。 結局、 全国ジャパンライフ被害弁護団連絡会が被害者による破産申し立てをするまで被害拡大を止めることはできなかった。 再三報道し、 国会でも何度も追及されている。

大口顧客名簿の最高額
2015年末で約12億円
 本紙が 2017 年当初に入手した高額契約者の名簿 (2015 年 11 月末時点) では、 最高契約金額は 12億 4780 万円。 1億円以上の契約者が 314 人掲載されていた。 5億円以上は 15 人、 この 15 人を含め3億円以上は 41 人、 2億円以上が 114 人に上っていた。 
 同社は1億円以上の契約している人をミリオネア会員と呼び、 表彰をし、 顧客にも名簿を配布してきた。 
 元社員は、 この名簿は本物で事実上倒産した 2017 年 12 月時点では、 最高額が 14 億円を超えていたと証言している。 高額契約者は割引があるため実質の契約額は7割程度と説明しているが、 その実態もいまだに明らかにされていない。

東京地裁、当初から自転車操業認定
破産管財人、2008年には粉飾決算
 東京地裁は 2019 年5月に、 同社の販売預託商法が始まった 2003 年 11 月当初から自転車操業であること、 2005 年以降入ってくるレンタル料が、 支払額を大幅に下回り、 その差額が 2014 年度で 60 億円、 2015 年度には 70 億円を超え、 破綻した 2017 年度では 10 分の1に過ぎなかったことを認定している。 
 同社破産管財人も、 自転車操業の状態が続いていたとして、 2017 年度後半にはレンタル収入は、 レンタルオーナーに支払うべき金額の 10 分の1しかなかったと報告している。 遅くても 2008 年以降は粉飾決算を行っていたとしていた。 
 山口元会長個人の破産管財人は、 破綻直前に銀行口座から引き出されたとする 5000 万円の使途不明金の調査を進めてきたが、 山口元会長が協力せず、 捜査権のない調査では、 ほとんど解明されていない。

安倍元首相や加藤官房長官も広告塔
「厳重に抗議」加藤官房長官
 ジャパンライフは、 多くの政治家や著名ジャーナリストなどを広告塔として利用し、 元官僚らを顧問とすることで、 顧客や社員を信用させてきた。 
 本紙が 2018 年1月、 元社員から入手した宣伝用資料には、 安倍元首相からの 「桜を見る会招待状」 のほか、 加藤勝信一億総活躍担当相 (当時) と山口元会長との会食、 山口元会長主催の二階俊博幹事長を囲む懇談会などが含まれていた。 懇談会の参加者メンバーには、 著名なジャーナリストや大手マスメディアの解説委員、 編集委員なども掲載され、 広告塔として利用されていた。 
 山口元会長が、 帝国ホテルの一室に、 著名な政治家をゲストに迎え、 著名ジャーナリストや大手マスコミ解説委員らと懇談会を開くミレニアムの会の事務局を務めていたことも明らかになっている。 「日常的に大物政治家と会ったという話をされ、 すっかり信用した」 と元社員は証言する。 「桜を見る会」 の招待状があることで契約を決断したと話す被害者も少なくない。 
  「桜を見る会」 招待状に付された 「60」 の数字が、 首相招待枠である可能性があるとして国会で野党が追及してきたが、 「招待者名簿は廃棄済み。 個人情報であることから回答を控える」 として、 明確な答弁は得られないままだ。 
 9月 18 日の会見で、 加藤官房長官は、 再調査をする考えがあるかを問う質問に 「毎年多数の招待者がおり、 名簿も保存されていない。 個々の招待者について今から改めて調べても、 確たることは申し上げることができない」 と再調査する考えはないと回答。 自らの顔写真が使われたことについては、 「マスコミ主催の会合に行ったが、 その中には山口会長が参加されている事実はなかった。 山口会長が現場におられたことに尽きる。 同社の広告的なものに使われたことに対しては、 厳重な抗議をしている」 と説明している。

元官僚顧問料6人で1.6億円
永谷元内閣府官房長1650万円
 ジャパンライフの顧問には、 天下りが認定された水庫孝夫・消費者庁取引対策課元課長補佐だけでなく、 元特許庁長官の中嶋誠氏、 元経企庁長官秘書官、 元通産大臣秘書の松尾篤氏、 内閣府国民生活局長も務めた元内閣府大臣官房長の永谷安賢氏、 元科学技術庁官僚の佐藤征夫氏のほか、 橘優・朝日新聞元政治部長らも名を連ねていた。 
 民事裁判の中でこれまでに、 松尾氏が 9060 万円、 橘氏が 3011 万 8482 円、 佐藤氏が 1780 万円、 水庫氏が 360 万円、 中嶋氏が 300 万円の顧問料を受け取っていたことが明らかにされていた。 関係者への取材で、 永谷氏の顧問料が3年間で 1650 万円だったことが判明した。 

生活切り詰める切実な被害者の声
「猛暑でふらつきサバ缶買った」
 東電の補償金 7000 万円を含む1億 3000 万円を契約してしまった老夫婦。 
 津波で家が流され補償金で建てたばかりの家に、 足しげく通ってきた社員は畑仕事を手伝い、 元内閣府国民生活局長が理事長を務める NPO が老人ホームや墓まで世話をすると勧められ、 社員を子どものように信頼して約 3600 万円の契約をしてしまった 60 歳代の夫婦。 
 マイナンバー制度で郵便局や銀行の預金は税金がかかると言われ、 定期預金を解約し保険も見直して 40 年働いてコツコツためた貯金と退職金約1億 2000 万円をつぎ込んでしまった 60 歳代の女性。 
 社員に車で買い物や通院の送迎をしてもらい、 夫の入院に付き添ってもらったことで次々に契約し、 最後は子どもが絶対に解約しないよう取引銀行にお願いしていた定期預金まで、 別の支店で通帳を紛失したとして再発行させて解約して契約させられ、 総額 6000 万円をつぎ込んでしまった 80 歳代の高齢女性―。 
 これまでに多くの被害者を取材してきた。 老後の資産のほとんどをつぎ込んでしまった被害者は、 節約を重ね、 いろいろなものを切り詰めながら暮らしている。 中には、 誘った人から責められ体調を崩し、 生活保護を受けている人もいる。 
  「肉や魚は食べられない。 今夏の猛暑でさすがにフラフラし、 サバ缶を買って食べた」 「スーパーの見切り品コーナーにまず行く。 コンビニは高くて行けない」 「もやしや豆腐、 納豆を買っている」 「年金だけでは食べていけないので、 パートをしている」 「庭に花を植えて1本 50 円で売りに行っている」 「新聞はとっていない。 携帯電話は解約した」 など、 日々の暮らしは厳しい。 「あのお金があったら」 「悠々自適の老後のはずだったのに」。 そんな言葉を多くの人が口にした。

逮捕されても「お金は駄目だべ」
「少しでもお金返してほしい」
 山口元会長らの逮捕について聞くと、 「逮捕されても、 お金は駄目だべ」 という回答が返ってきた。 「ほんの少しでもいいから、 お金を返してほしい」 というのが被害者の共通した思いだ。 
  「一歩進んだのはありがたいが、 生活は苦しいまま」 「社員よりも被害者を優先してお金を返してほしい」 「ずいぶん以前に事情聴取を受けたが、 それにしても逮捕が遅い」 「このタイミングの逮捕は、 臭いものにふたをしようとしているのではないか」 「政治家とのつながりをきちんと追及してほしい」 「桜を見る会の招待状を信用した。 なぜ、 山口元会長が招待されたのか明らかにしてほしい」 等の声が聞かれた。

16:53
2020/09/28

日本消費経済新聞2309号(2020年9月25日発行)

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山口元会長の月収350万円
賞与年間1400万円
 ジャパンライフの山口隆祥元会長は同社が事実上倒産する直前の 2017 年 11 月まで、 月額 350 万円の役員報酬を得ていたことが、 関係者から入手した賃金台帳で明らかになった。 賞与も12 月 15 日付で 700 万円が支払われ、 7月 10 日に支払われた夏と合わせると年間 1400 万円に上る。 山口ひろみ元社長には、 332 万 5000 円 (住宅手当て 32 万 5000 円含む) の月給が支払われていた。
ひろみ元社長 月給332.5万円
元取締役は月給75万円、85万円
 同社が 2003 年 11 月に販売預託取引を始めた当初から自転車操業で、 レンタルオーナーへの支払額が入ってくるレンタル料を大幅に下回り、 2015 年度で 70 億円を超え、 2017 年度には 10 分の1に過ぎなかったことを東京地裁が認定している。 
 このような状況で、 山口元会長の役員報酬は 2016 年6月に 250 万円から 350 万円に増額されていた。 賞与は 2015 年までは1回 500 万円だったが、 2016 年から 700 万円に引き上げられている。 
 ひろみ元社長の月給は、 2015 年7月に 225 万円から 262 万円に引き上げられ、 2016 年6月からは 332 万 5000 円 (いずれも住宅手当て 32 万 5000 円含む) にさらに増額されていた。 
 安田慎二元取締役の月給は 85 万円で、 賞与は1回 170 万円。 松下正已元取締役は月給 75 万円、 賞与は1回 150 万円が支払われていた。 いずれも 2015 年7月に増額されていた。

16:52
2020/09/28

日本消費経済新聞2309号(2020年9月25日発行)

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被害弁護団 全容の徹底解明を
隠された資産ないか究明を
 ジャパンライフ元山口会長ら 14 人の逮捕を受け、 全国ジャパンライフ被害弁護団連絡会は9月 18 日、 東京都内で会見を開いた。 捜査機関に、 隠された資産がないか、 不正な経理が行われていないか、 全容の徹底解明を求めた。 
 石戸谷豊代表は、 被害者は高齢者がほとんどで、 故意の立証が困難な状況の中で、 詐欺容疑で逮捕したことに敬意を表しつつ、 「隠された資産がないかを含め、 事件の全容を徹底的に解明してほしい」 と述べた。 
 同連絡会が発足したのは、 2018 年1月 20 日。 ジャパンライフは、 2017 年 12 月 26 日に銀行の取引停止処分を受け事実上倒産したにもかかわらず、 同社は 「倒産はしていない」 と勧誘を続け、 2月9日に被害者による破産申し立てを行った経緯がある。 
 3月1日、 東京地裁が破産手続き開始を決定した後すでに4回債権者集会が開かれている。 しかし、 資産はほとんど見つからず不動産も抵当物件ばかりで、 現時点で回収できたお金は、 わずか5.7億円に過ぎない。 被害者より優先して支払うべき未払いの消費税や、 ジャパンライフ元社員の給与・ボーナス等が約7.4億円ある。 約 7000 人とされていた顧客のうち、 約 750 人が約 230 億円分の契約解除を申し出たことで、 破産管財人が東京国税局に対し消費税 10.5 億円分の還付申告をしている状況だ。 
 石戸谷代表は、 労働債権の名目で加害者側への配当が優先されるのはおかしいと、 「被害者から奪われた資金は、 被害者に配当されるべき」 と訴え続けている。 「実質的に商品の売買・預託契約の実態がない契約は無効。 少なくとも被害者から解除された契約については速やかに消費税を還付し、 被害者の配当に充てるべき」 とも訴えた。 「引き続き被害者に解約を呼びかけているが、 なかなか行き渡らない」 と、 顧客名簿が明らかにならない中での周知の困難さに言及している。 
 元官僚ら同社顧問6人に支払われた顧問料が約 1.6 億円に上るとして、 返還し被害者の配当に充てることも要請。 預託法等を見直している消費者庁の検討委員会が、 販売預託取引を原則禁止とする報告書をまとめたことを踏まえ、 「罰則規定があるため適用範囲を法文で明確化する必要があるが、 預託商法が2度と起こらないすき間のない法整備が必要」 と指摘した。 
 大迫恵美子事務局長は 「刑事事件での逮捕を心待ちにしていた。 組織の内容、 財産を隠していないのか、 不正な経理が行われていないかを究明してほしい」 と話した。(相川優子)

16:51
2020/06/18

日本消費経済新聞2300号(2020年6月15日発行)

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ジャパンライフ4回目の債権者集会
被害者に配当の可能性
約750人の契約解除で“光”
 約 2000 億円もの甚大な消費者被害を発生させた 「ジャパンライフ」 の被害者に、 わずかではあるが配当される可能性が出てきた。 6月 10 日、 東京地裁で開かれた4回目の債権者集会で、 約 7000 人の顧客のうち、 約 750 人が約 230 億円分の契約解除を申し出たことで、 破産管財人が東京国税局に対し、 消費税 10.5億円の還付申告をしたことが明らかになった。 これまでに回収できた5.7億円に対し、 被害者より優先して支払うべき未払いの消費税や、 ジャパンライフ元社員の給与・ボーナス分等が約7.4億円ある。 10.5億円が還付されれば、 被害者にもお金が回ってくる。 さらに多くの被害者が契約解除を申し出ることで、 還付額を増額できるが、 被害者からは 「皆高齢でお金もなく債権者集会に行けず、 情報は届いていない。 自動的に全員の契約を解除してもらえないのか。 せめて顧客名簿を持っている消費者庁や警視庁、 破産管財人から契約解除をすれば返金額を増やせる可能性があることを連絡してもらえないものか」 という声が出ている。 全国ジャパンライフ被害弁護団連絡会の石戸谷豊代表は、 「売買の実態がないのに本来消費税を取ること自体おかしく、 消費税は全額還付すべき。 10.5億円については当然還付すべき」 と指摘している。(相川優子)

消費税10.5億円還付を国に申告
より多くの契約解除へ、どう情報届ける
 磁気治療器のレンタルオーナー商法を展開し破綻し、 東京地裁が破産手続き開始決定 (2018 年3月1日) をしてから、 2年3カ月。 ようやく一般債権者にも配当される見通しが出てきた。 
 被害者のうち約 750 人が、 破産管財人に契約解除や契約取消の意思表示をしたことで、 ジャパンライフが国に支払っていた消費税が還付される可能性が出てきたためだ。 その額は被害者の1割強で 10.5億円と、 少なくない。 全員が契約を解除すれば、 相当額の還付を求めることができる計算になる。 
 クーリング・オフは、 契約書面が交付された日から8日以内 (訪問販売等、 連鎖・業務提供誘引販売は 20 日以内、 預託取引は 14 日以内) しかできないが、 契約書面に不備があった場合はいつでもできる。 ジャパンライフの場合はほとんどのケースがこれに該当すると考えられる。 また、 訪問販売以外でも、 事業者が不実告知や故意の不告知をしたことで消費者が誤認して契約した場合は、 契約の意思表示を取り消すこともでき、 ジャパンライフの場合は契約の商品がほとんどなかったため、 これにも該当すると考えられている。 
 債権者集会後に会見を開いた全国ジャパンライフ被害弁護団連絡会の大迫恵美子事務局長は、 「1割強の被害者の解約で還付申告額が 10.5億円。 より多くの被害者がクーリング・オフや契約取消の手続きを取ることで、 配当できる額を増やすことができる明るい見通しが出てきた」 と報告。 より多くの被害者が、 破産管財人にクーリング・オフや契約取消を通知するはがきを送るよう呼びかけ、 マスコミにも報道を求めた。

政治献金返還されないまま
顧問料、返還意向ごく一部
 同日の債権者集会への参加者は、 新型コロナウイルス感染症の影響もあり、 30 人弱。 ジャパンライフの山口隆祥元会長は今回も欠席した。 破産者代理人から、 心臓の術後に加え、 大腸ポリープや糖尿病により右目がほぼ失明に近く、 絶対安静で手術を待っている状況と説明がなされたという。 10.5億円の消費税の還付申告のほか、 本社ビル売却額から1億 3000 万円が送金された人物との和解が成立し、 約1億 3000 万円が回収できたことなどが報告された。 そのお金で購入されたマンションを売却し、 労働実態がないにもかかわらず給与を得ていた母親への不当利得返還請求訴訟と併せて和解した。 
 不動産は、 3回目の債権者集会以降4件が売却され、 約 2500 万円を回収した (約 80 店舗の支店のうち自社ビルは 17 支店だったが、 ほとんどが銀行や国税の抵当物件で、 競売で売却され相殺された残金等が回収された)。 残る不動産は仙台支店と広島支店2件で、 近く売却予定だ。 
 ジャパンライフの顧問に就任していた元官僚らの報酬が高額であることが指摘されてきたが、 一部の人が、 一部返還に応じる意向を示しているに過ぎない。 政治献金も当初に 40 万円が返金されて以降、 返金は行われていない。

「販売預託、組織的詐欺の温床」
「加害者側の配当優先問題」弁護団
 ジャパンライフ元社員の労働債権 (未払いの給与やボーナス) については、 エリアマネージャーら 16 人と、 過去に支払われた奨励金の返還請求と未払い賃金等との相殺で合意し、 約 1300 万円が減額された。 しかし、 今なお、 被害者への返金より優先される労働債権が4.6億円ある。 未払いの消費税約1.3億円、 地方税1.5億円も、 被害者への返金より優先される。 
 全国ジャパンライフ被害弁護団連絡会の石戸谷豊代表は、 「老後の資産のほとんどを失った高齢被害者は、 お金の問題もあり生きる意欲そのものが失われる。 自殺者を出さないよう頑張ってやってきた。 配当への光が差してきたことで、 元気付けられる」 と、 配当の可能性が出てきたことを評価しつつも、 「せっかく努力して集めたものが、 被害者より先に加害者側に配当されることが社会的に許されるのか」 と力説。 引き続き、 被害者への配当より従業員への支払いを優先させないよう求めた。 
 また、 預託法等の見直しを議論している消費者庁の検討会では、 「ジャパンライフ問題を背景に販売預託商法は、 組織的詐欺の温床になっていることが、 各界で認識される状況になってきている」 と報告。 2度と同様の被害を生まない、 実効的に被害を防止し得る法改正と、 ジャパンライフとその関係者の速やかな刑事処分を求めた。

被害者の会「被害者に情報届かない」
契約解除の必要性、顧客に連絡を
 コツコツためてきた約 7000 万円の老後の資金をジャパンライフにつぎ込まされた東北地方の女性 (85 歳) は、 「全然返金されないとあきらめていたけれど、 ちょっとでもお金を返してもらえるのはうれしい」 と、 債権者集会直後の息子から電話に、 こう答えた。 「主人がお刺身を食べたいと言っても、 もったいない、 ぜいたくはできない。 あのお金があったらといつも思ってしまう」 と話していた。 
 ジャパンライフ被害者の会の佐藤良一代表は、 「被害者のほとんどが高齢で、 債権者集会にも出られず、 必要な情報が届かない。 返金があるのか、 いつ返金されるのか分からない中で苦しんでいる人が多く、 食費や電気代をギリギリまで切り詰め節約している。 破綻から2年経ち、 亡くなる人が少なくない。 栄養失調で孤独死をした人も出ている」 と深刻な状況を訴える。 
  「より多くの被害者が契約解除通知を出そうにも、 弁護団に入っていない被害者が多く情報を届けることができない。 私たちが連絡しようにも、 把握できている被害者は一部に過ぎない。 顧客名簿を提供していただければ、 こちらから契約解除届けを出すように連絡したい。 難しいというのであれば、 行政機関から、 この情報を被害者に届けていただけないか」 と話している。 
 次回債権者集会は、 12 月9日 (水) 14 時から、 同日と同じ東京地裁民事第 20 部債権者等集会場Ⅰで開催される。

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