日本消費経済新聞は、生活者優先時代を実現するため、消費者行政、消費者問題、企業の顧客対応の情報を全国に発信する専門紙です
 
ジャパンライフ問題 特設ページ 日本消費経済新聞
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2021/10/08

日本消費経済新聞2343号(2021年10月5日発行)

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ジャパンライフ元社長3回目公判
被害者の証言あっても
「リース債権説明していない」
 磁気治療器の販売預託商法で甚大な消費者被害を発生させた 「ジャパンライフ」 巨額詐欺事件で、 出資法違反の罪に問われた元社長兼財務部長、 山口ひろみ被告 (49) の3回目の公判が9月 29 日、 東京地裁 (浅香竜太裁判長) で行われた。 検察官が被害者の供述調書から、 「リース債権についてスライドを使って説明していた」 「銀行に預けるより資産が増えてお得」 と言われたという複数の被害者の証言を報告し、 「被害者がうそをついているというのか」 と質問したのに対し、 ひろみ被告は 「うそをついているとは言っていない。 私は説明していない」 と、 最期まで否認し続けた。

証拠のメール「記憶にない」
「契約の説明 加盟店にバトンタッチ」
 同社が2度目の不渡りを出して実質的に破綻したのは 2017 年 12 月。 破綻間もない 2017 年 11 月以降に、 リース債権譲渡契約の名目で、 元本保証と配当金の支払いを約束して、 23 人から1億 1428 万円を集めた出資法違反の罪に問われている。 
 同日は被告人質問が行われた。 弁護人の質問に、 ひろみ被告は、 一貫して 「リース債権譲渡契約の内容を知らない」 「催事でリース債権の説明はしていない」 「セールストークはしていない」 と主張した。 
 検察官は、 11 月 11 日にひろみ被告が、 父親で元会長の隆祥被告 (79) 宛てに送ったメールを読み上げた。 「5年物のリース債権の場合 70 万円で、 100 万円の額面のリース債権を購入。 債権収入は 5000 円×60 回で 30 万円。 5年間終わったときに 70 万円が償還されるということでよいのでしょうか」 「その通りです。 残価はそのままお返しします。 以上会長」 -というやり取りが証拠として提出されている。 破綻間際に大きな割引率で、 リース債権が販売された。 
 検察官が、 「このメールを送った記憶はあるか」 と質問したのに対し、 ひろみ被告は 「記憶にないです」 と大きな声で答えた。 
 検察官は、 被害者の供述調書から、 催事で 「リース債権についてスライドを使って説明していた」、 個別面談で 「リース債権の説明をされ、 銀行に預けるより資産が増えてお得と言われた」 などの複数の証言を引用して問いただしたが、 「説明していない」 「言っていない」 と否定し続けた。 
 催事で説明をするようになったのは 2015 年ころからで、 商品や体験談、 健康の話をし、 契約の場面になると加盟店にバトンタッチしていたなどと説明した。 
 裁判官から 「多くの方々に大きな損害を与えてしまっていることをどう思っているか」 と問われ、 「破産のときからずっと毎日考えていて、 言葉として表せる状態ではない」 と答えた。 「お詫びの思いはあるのか」 と再び問われ、 「それ以上のことがあるので、 謝罪の言葉をいうだけでは済まないと思っている」 と述べた。 
 弁護人から 「言葉にしなければ通じない」 と促され、 「被害者の方には本当に申し訳なかったと毎日思っている」 と謝罪した。 
 次回 11 月 15 日の公判は、 論告弁論が行われ結審する。(相川優子)

16:36
2021/09/28

日本消費経済新聞2342号(2021年9月25日発行)

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ジャパンライフ元山口会長初公判
「起訴事実全部認める」
 詐欺罪に問われたジャパンライフ元会長、 山口隆祥被告 (79) の初公判が9月 22 日、 東京地裁 (浅香竜太裁判長) であった。 山口被告は 「起訴事実は全部認める」 と起訴容疑を認めた。 検察側から、 2017 年7月には、 預かり商品の額は 575 億円を超えていたにもかかわらず、 支払い原資は8億円しかなく、 1.76%の人が解約すれば支払える状態になかったことを認識していたにもかかわらず、 そのことを隠して契約をさせたことや、 自らメールで返金の撤回や返金を求める顧客にリース債権への切り替えを勧める指示をしていたことなどが明らかにされた。 被害者の供述調書から、 「朝から晩まで畑を耕して貯めたお金をだまし取られ、 許せない」 「憎くて忘れることができない」 など、 被害者は一様に厳罰を求めていることも報告された。 消費者庁から顧客に送付するよう指示された文書が顧客に届かないよう送付先を選別したり、 文字を薄くするよう被告から指示されたという元社員の供述があることも明らかになった。(相川優子)

1.76%解約すれば支払えない状況認識
自ら返金撤回、リース債権への切り替え指示
 ジャパンライフは、 磁気治療器の販売預託商法を展開し甚大な消費者被害を出したが、 詐欺罪に問われているのは、 消費者庁が業務停止命令を出した後に同社が販売した業務提供誘因販売取引とリース債権譲渡契約。 2017 年7月以降に業務提供誘因販売名目で、 2017 年 11 月以降にリース債権譲渡取引名目で、 事業収益で配当できる見込みがないにもかかわらず、 財政基盤は安定していて、 いつでも解約でき全額元本を支払うとうそを言って誤信させ、 20 人から約1億 6500 万円をだましとった罪に問われている。 
 同日、 山口被告は手錠をした手に補聴器を持って入廷した。 
 検察官が起訴状を読み上げた後、 証言台に立った山口被告は、 「文章を書いてきたので、 読んでいいか」 と問い、 持ってきた紙を読み始めた。 
  「起訴事実は全部認めます」。 冒頭、 こう発言した後、 「人々の健康と豊かな暮らしのために磁気治療器を開発して、 1974 年にジャパンライフを創立した」 「お客さんだった力のある人たちが事業者となり、 磁気治療器の良さを身を持って体験して、 知人を紹介するビジネスを展開した」 などと持論を展開。 「詐欺目的で始めたものではないことを理解してほしい」 と主張した。 
また、 「消費者庁の業務停止命令で売り上げが低下したが、 業務提供誘因販売やリース債権譲渡契約に変えれば、 売り上げが回復すると思い、 この状況を顧客に説明せずに事業を続けたことでこのようなことになった。 心からお詫びする」 と語った。

消費者庁の指示文書
文字薄く、送付先選
 検察官の冒頭陳述の中で、 「2017 年7月には、 預かり商品の額は 575 億円を超えていたにもかかわらず、 支払い原資は8億円しかなかった」 「1.76%の人が解約すれば支払える状態になかったことを認識していたにもかかわらず、 これを隠して業務誘因販売やリース債権譲渡契約をさせ 20 人の顧客から約1億 6500 万円をだましとった」 「社員に返金申請を撤回させるように指示しただけでなく、 奨励金を出していた」 「毎月 350 万円の役員報酬を得ていた」 ことなどが指摘された。 
 山口被告が、 返金の撤回を指示したメールや、 返金を求める顧客にリース債権への切り替えを勧めるメールなども証拠として提出された。 2008 年3月に辞任した監査役の意見に被告が耳を貸さなかったことや、 消費者庁から顧客に送付するよう指示された文書が顧客に届かないよう送付先を選別したり、 文字を薄くするよう指示されたと当時のお客様相談室長が証言していることなども明らかにされた。

「許せない」「憎くて忘れられない」
被害者供述 一様に厳罰求める
 また、 検察側が同日提出した被害者の供述調書から、 「業績が好調と言われ信じて大金を支払った。 お金が支払われる見込みがないと分かっていたら支払っていない」 「朝から晩まで畑を耕して貯めたお金をだまし取られて、 許せない」 「1円も返ってこないまま夫はなくなった」 「あのお金があれば悠々自適の生活ができていた」 「憎くて忘れることができない」 など、 被害者の声が報告され、 被害者は一様に厳罰を求めていることが明らかにされた。 
 全国ジャパンライフ被害弁護団連絡会の石戸谷豊代表は、 「これまでの経緯から、 起訴事実を認めたことには、 驚いた。 申し訳ないという気持ちがあるのであれば、 お金の流れを包み隠さず、 すべて明らかにしてほしい」 と話している。

16:18
2021/08/27

日本消費経済新聞2339号(2021年8月25日発行)

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ジャパンライフ山口隆祥元会長、娘公判で証言
「全部私が考え実行」逮捕後初公の場に
「勧誘行為やってない」「加盟店が加盟店作った」
 磁気治療器の預託販売商法で甚大な消費者被害を出した 「ジャパンライフ」 事件で、 出資法違反の罪に問われている元社長、 山口ひろみ被告の2回目の公判 (朝香竜太裁判長) が8月 18 日行われ、 詐欺罪に問われている父親で元会長の山口隆祥被告が、 弁護人側の証人として、 逮捕後初めて公の場に姿を見せた。 「全部、 私が考えて私が実行した」 と証言した。 「(ひろみ被告は) 勧誘行為は一切やっていないと思う」 と述べ、 「加盟店が加盟店を作った」 「(催事の) 客は 100 人のうち5人くらい」 「31 のときにアメリカで (ネットワークビジネスを) 勉強してきた。 日本で広めた第一人者」 などの持論を展開した。(相川優子)

「ネットワークビジネス、米国で勉強」
「日本で広めた第一人者」持論を展開
 山口ひろみ被告は、 2017 年 11~12 月に元本保証と配当金支払いを約束し、 23 人から1億 1428 万円を違法に集めた出資法違反の罪に問われ、 1回目の公判では無罪を主張している。 
 手錠をしたまま法廷に入った山口隆祥被告は、 「耳が片っ方 (右) 全然、 聞こえない」 と訴え、 何度か聞き返す場面があったが、 その声は以前と変わらず大きかった。 
 ひろみ被告は、 1996 年4月に入社し、 2007 年6月に代表取締役に就任している。 「(ひろみ被告が) 入社を希望したのか」 という弁護人の質問に、 「アメリカのハイスクールのころから手伝いをしていた。 私が言ったら本人もやる気で入った」 と説明。 「入社して 10 年で社長にする約束で育てた。 ジャパンライフを 32 歳で私が作った。 12 年経ち、 ひろみが 35 歳。 ちょうどいいと思って社長にした。 後を継がす思いもあった」 と述べた。 
 財務部長を兼務させた理由は 「インターネットの係をやっていた」 と回答。 「(入出金や預金の管理、 融資、 決算などは) 全部私がやっていた」 「(ひろみ被告は) 印鑑や通帳は見たこともない」 と証言した。 新規融資交渉を指示されたという元社員の証言については 「無理。 仕事をやったこともないし銀行でも相手にされない。 私の顧問が常にやってくれていた」 と反論した。 
 ジャパンライフは、 磁気治療器の販売預託商法の実態は変えないまま、 特定商取引法の規制を逃れるため取引形態を、 マルチ商法 (ネットワークビジネスとも呼ばれる) から業務提供誘因販売、 リース債権譲渡販売と次々と変えてきた。 
 起訴状では、 破綻間際に販売されたリース債権の勧誘行為が、 元本を保証して不特定多数の人から預り金をしたという出資法違反に問われている。 
  「(ひろみ被告は) 勧誘行為をしたことになっているが」 との弁護人の問いに、 「勧誘行為は一切やっていないと思う。 役員が勧誘したりはしていない。 加盟店が加盟店を作った」 と山口隆祥被告。 2017 年 10 月、 11 月ころのひろみ被告の体調についても 「体調が悪く会社を辞めたいという話があった。 なぜかと聞くと、 マスコミがうるさくて神経が参っているという話があった」 とも述べた。 リース債権契約については、 2017 年 10 月中頃に山口隆祥被告自身が立案し、 11 月1日から販売を予定していたが、 書類が間に合わず実際の発売は 11 月中旬からになったなどとも説明した。 

「催事の目的、販売店への周知徹底」
「客は100人のうち5人くらい」
 検察官が 「ワンマン会社ということでいいか」 と確認したのに対し、 山口隆祥証人は 「そうです」 と回答。 「証人から指示をしていたのか」 「大きなことをメールしていたのか」 などの質問に 「細かいことは指示する必要がない」 「商品の良さを強調しているだけ」 などと回答。 催事と呼ばれる地方での催しの目的は 「販売店のための周知徹底」 で、 「客は 100 人のうち5人くらい」 「31 のときにアメリカで (ネットワークビジネスを) 勉強してきた。 日本に広めた第一人者。 ネットワークビジネスというのは、 加盟店が加盟店を勧誘する。 商品を供給していただけ」 などと語った。 
 ひろみ被告が催事で講師を務めたときの内容については、 「聞いたことも見たこともない」 と回答。 ジャパンライフの銀行印を管理していたのではないのかとの質問にも 「銀行印も実印も私が管理していた」。 インターネットでの管理 (顧客への配当金の送金など) を任せた理由については、 「過去に経理担当者が不正をしたことがあり、 一番信用できるひろみに任せていた。 インターネットの場合は、 銀行印は要らない」 などと述べた。 5年物のリース債権について元会長本人のメールアドレスから、 全国の店長や地方マネージャーなどに指示したことについては、 「自分では打てない。 打たせた覚えはある」 と回答している。 
 次回公判は、 9月 29 日9時 50 分から。 隆祥被告の初公判の日程は、 まだ決まっていない。

16:03
2021/08/08

日本消費経済新聞2338号(2021年8月5日発行)

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ジャパンライフ債権者集会6回目
消費税22億円還付でも、回収額26.8億円
優先される労働債権6.1億円、届出債権1596億円
 電気治療器の販売預託商法を展開して破綻した 「ジャパンライフ」 の6回目の債権者集会が7月 28 日、 東京地裁であった。 消費税約 22 億円が東京国税局から還付されたことで、 回収できた資産は 26.82 億円に増え、 被害消費者に配当できることは確実になった。 ただし、 被害者より優先して支払われる元従業員の未払いの給与やボーナスが 6.11 億円ある。 届け出られた債権総額は、 取引先などの一般債権を含め現時点で約 1596 億円。 配当率は、 被害の回復にはほど遠い極めて低い率にとどまると見られる。 2018 年3月から始まった破産手続きは、 3年4カ月を経てまだ終わらない。 消費者庁が4回も業務停止命令を出しても業務を止められず、 破産手続開始時にはすでに本社ビルまで売却され、 労働債権ばかりが膨れ上がった。 被害回復の困難さが、 改めて浮き彫りになっている。 出資法違反で検挙された 11 人の幹部社員の刑事裁判では、 7人の判決が出たが、 これだけの被害を出しても、 懲役2年 (1人のみ1年半)、 執行猶予3年に過ぎない。 全国ジャパンライフ被害弁護団連絡会の石戸谷豊代表は、 「出資法の罰則引き上げ、 消費者庁による解散命令権、 破産申し立て権の創設が不可欠」 と話している。(相川優子)

消費者庁の解散命令、破産申立権
出資法の罰則引き上げ不可欠
 被害消費者らが契約を解除したことに伴い、 ジャパンライフが国に支払っていた消費税のうち、 22 億 1700 万円が還付された (2020 年3月期で5億 1200 万円、 2021 年3月期で 17 億 500 万円)。 
 しかし、 これらを合せても回収できた資産は 26 億 8600 万円 (前回6億 6200 万円) に過ぎない。 
 破産管財人は、 オーナー商法の被害者約 8000 件、 一般債権者約 880 件、 労働債権者約 580 件、 香港の被害者約 410 件に債権届出書を発送し、 現時点までに届け出られた債権総額は約 1596 億円に上る。 オーナー商法被害者約 8000 件のうち、 約 6000 件から届け出があったと見られる。 
 これに対し、 被害消費者より優先して支払われる元社員の未払い給与やボーナスが、 6億 1100 万円ある。 出資法で検挙された社員 10 人 (取締役除く) の労働債権については、 1人は、 山口隆祥元会長の家族の扱いのため、 認めない。 残りの9人のうち、 5人は、 奨励金の返還請求で和解し労働債権は放棄済み。 残りの4人は労働債権があり、 刑事記録を閲覧して検討する方針が示された。 
 山口隆祥元会長個人の破産管財業務は終了していたが、 その後、 妻名義の貸倉庫から約 6000 万円の現金が見つかったことで、 山口元会長の財産と認定するための裁判が係争中だ。 ジャパンライフが大口債権者で、 この判決が出るまで破産管財業務は終わらない。 日々の生活を切り詰める高齢な被害者らは、 わずかの配当率でもお金が戻ることを心待ちにしているが、 配当は来年になると見られる。 
 同日、 全国ジャパンライフ被害弁護団連絡会が会見を開き、 債権者集会の内容を報告した。 石戸谷豊代表は 「2021 年3月期では 2020 年3月期の3倍以上の契約が解除され、 消費税が還付された点は評価できる」 としながらも、 「犯罪に加担した加害者側の労働債権が、 被害消費者より優先されるのは、 納得がいかない」 と訴え続けている。 

刑事裁判で判決済の幹部7人
すべて「執行猶予3年」
 ジャパンライフ事件では、 詐欺罪で立件されたのは、 山口隆祥元会長のみ。 山口ひろみ元社長をはじめ、 事業部長や地方マネージャーなどの幹部社員12 人は、 出資法違反で検挙された。 山口ひろみ元社長の公判は同日から始まり、 無罪を主張している。 他の 11 人のうち、 取締役で事業部長だった安田真二 (4月 13 日)、 国際部ゼネラルマネージャーだった石渡勝祥 (5月 28 日) ら7人の判決が出て確定しているが、 財務部課長代理の幾世橋毅のみ懲役1年半、 他の6人は懲役2年。 全員執行猶予3年とされた。 

出資法の罰則「懲役3年以下」
1954年制定時のまま
 石戸谷豊代表は今年5月 11 日、 衆議院消費者問題特別委員会の参考人意見陳述で、 「巨額な被害が続いているにもかかわらず、 出資法の罰則が 『3年以下の懲役もしくは 300 万円以下の罰金またはその併科』 では、 軽すぎる」 と指摘。 「出資法の預かり金に対する罰則は 1954 年の制定時から改正されていない」 として、 「改正預託法の確認を得ない販売預託取引の勧誘や契約への罰則 『5年以下の懲役もしくは 500 万円以下の罰金またはその併科』 と同等に引き上げる」 ことを要請した。 
 販売預託取引については、 勧誘段階と契約段階の2段階で厳格な確認を求める改正預託法が通常国会で成立し、 6月 16 日に公布 (施行は公布から1年以内) された。 石戸谷代表は、 より早い段階での施行を求めている。 

「懲役5年以下」へ引き上げを
国会でも大西氏、福島氏追及
 4月 27 日の衆議院消費者問題特別委員会で、 立憲民主党の大西健介氏は 「懲役 5 年以下になると執行猶予はつかないが、 懲役3年以下では執行猶予がついてしまう。 5年以下に引き上げなければ、 やり得を許してしまうことになる」 と法務省を追及している。 
 これに対し、 法務省は、 「関連事業者の業務実態等を直接把握していない」 としながら、 一般論として 「法定刑を引き上げる必要性や理由をどのように考えるか。 法定刑が低いために適正な量刑が困難になっている状況があるかなどの検討課題がある」 と説明。 「捜査機関で刑事事件として取り上げるべきものがあれば適切に対処し、 悪質な事情は適切に主張・立証することで厳正な科刑の実現に努めていく」 と答弁していた。 
 6月4日の参議院地方創生消費者問題特別委員会では、 社民党の福島瑞穂氏が 「刑事裁判の例を見ると、 詐欺は、 欺罔、 錯誤、 騙取、 損害を立証しなければならず、 詐欺事犯ではなくやはり出資法違反でやっている」 実態があると、 出資法違反の罰則を5年以下の懲役に引き上げることを再度求めた。 
  「罰則が懲役3年以下のため執行猶予になってしまうケースが多く、 結局同じ人、 同じグループが繰り返しさまざまな詐欺商法をやっていく。 執行猶予にどうせなるからということもあるのではないか」 「このような出資法違反の消費者被害を生んでいることが、 適正な処罰と言えるのか」 と質問している。 
 しかし、 これに対しても、 法務省は 「法定刑を引き上げる理由や必要性をどう考えるか。 当該法律のほかの罪や、 他の法律の同種の罪の法的佳のバランスをどう考えるか。 法定刑が低いために適切な量刑が困難になっている状況があるかが検討課題になってくる」 と、 検討課題の項目を1つ増やした答弁しかしていない。 
 石戸谷代表は、 「ケフィアもそうだが、 実態として、 組織的営業的な詐欺が、 出資法違反で立件される事案が積み重なっている。 罰則が抑止力になっていないことは明らか。 早急に関連業者の業務実態を把握し、 引き上げを検討すべき」 と話している。 

消費者庁の解散命令、破産申立権必要
業務停止命令従わない極悪層へ対策を
 石戸谷代表は、 出資法の罰則引き上げと合せて、 「消費者庁の解散命令権、 破算申し立て権の創設」 が必要だという。 「4回業務停止命令を出しても、 従わない事業者の業務を止めることができなかった。 USB メモリの販売預託商法を続けているウィル、 ヴィジョンも2度の業務停止命令を出した後、 関連会社の注意喚起しかできないのは、 法治国家として放置できない事態だ」 と、 力説する。 
 ジャパンライフは、 消費者庁が4回も業務停止命令を出しても被害は止まらず、 被害消費者による破産申し立てで、 東京地裁が破産手続き開始を決定したのは、 2018 年3月1日。 この時点でようやく被害は止まったが、 すでに本社ビルは売却され、 多くの不動産に抵当権が設定されていた。 詐欺的商法で集めたとされる 2000 億円を超えるお金は、 消え失せていた。 その上、 山口隆祥は業務転換で生き残ろうと社員を解雇しなかったため、 未払いの労働債権や社会保険料などが累積し、 それらが被害者への配当より優先され障害となった。 破産申し立てのための予納金を、 被害者から集めるのは非常に困難だという問題もある。 
 消費者庁の破産申し立て権については、 2013 年6月に財産被害に係る行政手法研究会の報告書で論点整理され、 今後の検討が期待されるとされたまま、 それ以後検討は全く進んでいない。 
 4月 27 日の衆議院消費者問題特別委員会で、 「消費者庁による破産申し立て制度を導入すべき」 と大西健介氏が質問したのに対し、 井上信治・消費者担当相は 「まずは、 消費者裁判手続特例法について、 検討する」 としか答えていない。 
 消費者裁判手続特例法は、 総理大臣に認定された特定適格消費者団体が消費者に代わって集団的被害回復訴訟等を提起することを認めるための法律。 来年通常国会への改正法案提出に向け検討が進んでいるが、 特定適格消費者団体の破産申し立て権については、 これまで議題に挙がっていない。 実際問題、 ジャパンライフ事件には破産申し立て権がなく、 対応できなかったが、 行政ができないものを、 数や財源、 悪質事業者の情報が限定されている特定適格消費者団体に期待するというのは本末転倒だ。 「業務停止命令に従わない極悪層に対し、 事業者の立ち入り検査などでデータを持つ行政庁が、 より早い段階で解散命令や破算申し立てを行うべき」 と石戸谷代表は訴えている。 

国会付帯決議「必要な検討」
解散命令 破産申立制度を創設
 国会の付帯決議には、 「加害者の不当な収益をはく奪し被害者を救済する制度、 行政庁・特定適格消費者団体による破産申し立て制度、 行政庁による解散命令制度の創設、 過去の被害事案の救済のための措置について、 消費者裁判手続特例法の運用状況の多角的な検討を踏まえて、 必要な検討を行うこと」 が盛り込まれている。 出資法の罰則引き上げは盛り込まれていない。 
 次回債権者集会は、 2022 年2月1日 (火) 14 時から、 東京地裁民事第 20 部債権者等集会場1で開催される。 

15:11
2021/02/08

日本消費経済新聞2321号(2021年2月5日発行)

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ジャパンライフ被害者救済へ
立憲民主党と社民党が提言
 立憲民主党と社会民主党は1月 22 日、 ジャパンライフによる約 7000 人、 約 2000 億円の消費者被害救済に向け、 同社が国に支払った消費税の還付や、 被害救済制度の見直しなどを、 井上信治消費者担当相に提言した。 特定適格消費者団体が確実に被害救済できるよう仕組みを見直し、 加害者側企業が持つ被害者名簿の開示や、 連絡や広報の費用負担を事業者側に転換させることなどを求めている。 消費者被害の損害賠償請求権が優先されない課題や、 被害救済のための新たな仕組みの創設についても検討を求めている。(相川優子)

国に支払った消費税還付を
被害者名簿開示へ検討を
 同日、 立憲民主党の宮沢由佳衆議院議員 (消費者部会長)、 柚木道義衆議院議員 (消費者部会事務局長)、 川内博史衆議院議員、 尾辻かな子衆議院議員と社民党党首の福島みずほ参議院議員 (元消費者担当相) が、 井上消費者担当相を訪ね、 提言書を手渡した。

回収資産6.6億円、元社員未払給与7.4億円
還付申請中の消費税10.5億円
 東京地裁がジャパンライフの破産手続き開始決定をしたのは 2018 年3月1日。 全国ジャパンライフ被害対策弁護団連絡会が、 被害者による破産申し立てを行い、 ようやく被害が止まった。 
 以後3年近い破産管財業務が行われてきたが、 5回目の債権者集会 (2020 年 12 月9日) で報告された資産の回収額は、 わずか 6.6 億円に過ぎない。 これに対し、 被害者より優先して支払うべき元社員の未払い給与やボーナス、 消費税などが 7.4 億円ある。 約 7000 人の顧客のうち、 約 750 人が約 230 億円分の契約解除を申し出たことで、 破産管財人が東京国税局に対し、 消費税 10.5 億円の還付申告をしている状況だ。 
 これが、 還付されれば、 わずかではあるが被害者に配当される可能性が出てくる。 「組織的な詐欺で、 被害者より加害者側の元社員への支払いが優先されるのはおかしい」 と、 全国ジャパンライフ被害対策弁護団連絡会の石戸谷豊代表は、 訴え続けている。

預託法改正は必要だが
被害救済面でも対応必要
 立憲民主党の宮沢消費者部会長は、 「悪質な消費者被害を2度と起こさせないための法改正はしなければならないが、 販売実態がない場合の消費税の還付など被害救済面でも政府として最大限の対応をすべき」 と要請した。 
 柚木事務局長は、 「立入検査や業務停止命令など運用面でも抜本的な見直しも重要」 と指摘。 「消費者庁は 4 回も業務停止命令を出したにもかかわらず、 被害を止めることができなかった。 安倍晋三前首相の桜を見る会招待状や加藤勝信官房長官が広告塔として利用され、 消費者庁、 内閣府、 経済産業省の官僚がジャパンライフに天下っている。 過去の検証を前提に法案審査をしなければ、 実効性が上がらない」 と述べた。 川内氏も、 「本来、 立入検査すべきものが文書指導に代わった経緯を再調査して明らかにすべき。 磁気治療器を預託法の適用対象に加えるときの事業者ヒアリングなど、 経緯が全く開示されていない」 と、 検証を求めた。

1人約2000万円の被害
お金全く戻っていない
 社民党の福島党首は 「ジャパンライフがこれほど問題にならなければ、 預託法は改正されなかったのではないか。 逆に言えば、 とっくにやらなければならないことを、 放置してきたとも言える」 と述べ、 ジャパンライフ問題への責任ある報告が審議の前提と強調した。 加えて、 「被害が分かったときには、 お金がなくて (資産が散逸して)、 救済ができない」 と、 救済のための仕組みの検討を求めた。 
 立憲民主党の尾辻氏は 「被害者は、 1人当たり 2000 万円近くを預託商法で奪われ、 だまされた方が悪いと泣き寝入りしている。 東日本大震災の補償金が狙われた。 預託法改正で販売預託取引を禁止することは評価したいが、 全然、 被害者にお金が戻っていない。 だまされた方が悪いのではなく、 だます方が悪い。 被害救済まで考えなければならない」 と、 被害の再発防止にとどまらない被害救済に踏み込んだ対策の検討を求めた。 
 提言書を受け取った井上消費者担当相は 「販売預託については原則禁止にする法案を準備している。 今国会で成立できるようご協力いただきたい。 消費者裁判手続き法については、 3年の見直し期間は過ぎ、 早く見直しに着手したいと思っているが、 訴訟件数が少なく、 訴訟の状況を見据えながら検討し、 対応を考えたい」 と答えた。

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