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2021/08/08

日本消費経済新聞2338号(2021年8月5日発行)

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ジャパンライフ債権者集会6回目
消費税22億円還付でも、回収額26.8億円
優先される労働債権6.1億円、届出債権1596億円
 電気治療器の販売預託商法を展開して破綻した 「ジャパンライフ」 の6回目の債権者集会が7月 28 日、 東京地裁であった。 消費税約 22 億円が東京国税局から還付されたことで、 回収できた資産は 26.82 億円に増え、 被害消費者に配当できることは確実になった。 ただし、 被害者より優先して支払われる元従業員の未払いの給与やボーナスが 6.11 億円ある。 届け出られた債権総額は、 取引先などの一般債権を含め現時点で約 1596 億円。 配当率は、 被害の回復にはほど遠い極めて低い率にとどまると見られる。 2018 年3月から始まった破産手続きは、 3年4カ月を経てまだ終わらない。 消費者庁が4回も業務停止命令を出しても業務を止められず、 破産手続開始時にはすでに本社ビルまで売却され、 労働債権ばかりが膨れ上がった。 被害回復の困難さが、 改めて浮き彫りになっている。 出資法違反で検挙された 11 人の幹部社員の刑事裁判では、 7人の判決が出たが、 これだけの被害を出しても、 懲役2年 (1人のみ1年半)、 執行猶予3年に過ぎない。 全国ジャパンライフ被害弁護団連絡会の石戸谷豊代表は、 「出資法の罰則引き上げ、 消費者庁による解散命令権、 破産申し立て権の創設が不可欠」 と話している。(相川優子)

消費者庁の解散命令、破産申立権
出資法の罰則引き上げ不可欠
 被害消費者らが契約を解除したことに伴い、 ジャパンライフが国に支払っていた消費税のうち、 22 億 1700 万円が還付された (2020 年3月期で5億 1200 万円、 2021 年3月期で 17 億 500 万円)。 
 しかし、 これらを合せても回収できた資産は 26 億 8600 万円 (前回6億 6200 万円) に過ぎない。 
 破産管財人は、 オーナー商法の被害者約 8000 件、 一般債権者約 880 件、 労働債権者約 580 件、 香港の被害者約 410 件に債権届出書を発送し、 現時点までに届け出られた債権総額は約 1596 億円に上る。 オーナー商法被害者約 8000 件のうち、 約 6000 件から届け出があったと見られる。 
 これに対し、 被害消費者より優先して支払われる元社員の未払い給与やボーナスが、 6億 1100 万円ある。 出資法で検挙された社員 10 人 (取締役除く) の労働債権については、 1人は、 山口隆祥元会長の家族の扱いのため、 認めない。 残りの9人のうち、 5人は、 奨励金の返還請求で和解し労働債権は放棄済み。 残りの4人は労働債権があり、 刑事記録を閲覧して検討する方針が示された。 
 山口隆祥元会長個人の破産管財業務は終了していたが、 その後、 妻名義の貸倉庫から約 6000 万円の現金が見つかったことで、 山口元会長の財産と認定するための裁判が係争中だ。 ジャパンライフが大口債権者で、 この判決が出るまで破産管財業務は終わらない。 日々の生活を切り詰める高齢な被害者らは、 わずかの配当率でもお金が戻ることを心待ちにしているが、 配当は来年になると見られる。 
 同日、 全国ジャパンライフ被害弁護団連絡会が会見を開き、 債権者集会の内容を報告した。 石戸谷豊代表は 「2021 年3月期では 2020 年3月期の3倍以上の契約が解除され、 消費税が還付された点は評価できる」 としながらも、 「犯罪に加担した加害者側の労働債権が、 被害消費者より優先されるのは、 納得がいかない」 と訴え続けている。 

刑事裁判で判決済の幹部7人
すべて「執行猶予3年」
 ジャパンライフ事件では、 詐欺罪で立件されたのは、 山口隆祥元会長のみ。 山口ひろみ元社長をはじめ、 事業部長や地方マネージャーなどの幹部社員12 人は、 出資法違反で検挙された。 山口ひろみ元社長の公判は同日から始まり、 無罪を主張している。 他の 11 人のうち、 取締役で事業部長だった安田真二 (4月 13 日)、 国際部ゼネラルマネージャーだった石渡勝祥 (5月 28 日) ら7人の判決が出て確定しているが、 財務部課長代理の幾世橋毅のみ懲役1年半、 他の6人は懲役2年。 全員執行猶予3年とされた。 

出資法の罰則「懲役3年以下」
1954年制定時のまま
 石戸谷豊代表は今年5月 11 日、 衆議院消費者問題特別委員会の参考人意見陳述で、 「巨額な被害が続いているにもかかわらず、 出資法の罰則が 『3年以下の懲役もしくは 300 万円以下の罰金またはその併科』 では、 軽すぎる」 と指摘。 「出資法の預かり金に対する罰則は 1954 年の制定時から改正されていない」 として、 「改正預託法の確認を得ない販売預託取引の勧誘や契約への罰則 『5年以下の懲役もしくは 500 万円以下の罰金またはその併科』 と同等に引き上げる」 ことを要請した。 
 販売預託取引については、 勧誘段階と契約段階の2段階で厳格な確認を求める改正預託法が通常国会で成立し、 6月 16 日に公布 (施行は公布から1年以内) された。 石戸谷代表は、 より早い段階での施行を求めている。 

「懲役5年以下」へ引き上げを
国会でも大西氏、福島氏追及
 4月 27 日の衆議院消費者問題特別委員会で、 立憲民主党の大西健介氏は 「懲役 5 年以下になると執行猶予はつかないが、 懲役3年以下では執行猶予がついてしまう。 5年以下に引き上げなければ、 やり得を許してしまうことになる」 と法務省を追及している。 
 これに対し、 法務省は、 「関連事業者の業務実態等を直接把握していない」 としながら、 一般論として 「法定刑を引き上げる必要性や理由をどのように考えるか。 法定刑が低いために適正な量刑が困難になっている状況があるかなどの検討課題がある」 と説明。 「捜査機関で刑事事件として取り上げるべきものがあれば適切に対処し、 悪質な事情は適切に主張・立証することで厳正な科刑の実現に努めていく」 と答弁していた。 
 6月4日の参議院地方創生消費者問題特別委員会では、 社民党の福島瑞穂氏が 「刑事裁判の例を見ると、 詐欺は、 欺罔、 錯誤、 騙取、 損害を立証しなければならず、 詐欺事犯ではなくやはり出資法違反でやっている」 実態があると、 出資法違反の罰則を5年以下の懲役に引き上げることを再度求めた。 
  「罰則が懲役3年以下のため執行猶予になってしまうケースが多く、 結局同じ人、 同じグループが繰り返しさまざまな詐欺商法をやっていく。 執行猶予にどうせなるからということもあるのではないか」 「このような出資法違反の消費者被害を生んでいることが、 適正な処罰と言えるのか」 と質問している。 
 しかし、 これに対しても、 法務省は 「法定刑を引き上げる理由や必要性をどう考えるか。 当該法律のほかの罪や、 他の法律の同種の罪の法的佳のバランスをどう考えるか。 法定刑が低いために適切な量刑が困難になっている状況があるかが検討課題になってくる」 と、 検討課題の項目を1つ増やした答弁しかしていない。 
 石戸谷代表は、 「ケフィアもそうだが、 実態として、 組織的営業的な詐欺が、 出資法違反で立件される事案が積み重なっている。 罰則が抑止力になっていないことは明らか。 早急に関連業者の業務実態を把握し、 引き上げを検討すべき」 と話している。 

消費者庁の解散命令、破産申立権必要
業務停止命令従わない極悪層へ対策を
 石戸谷代表は、 出資法の罰則引き上げと合せて、 「消費者庁の解散命令権、 破算申し立て権の創設」 が必要だという。 「4回業務停止命令を出しても、 従わない事業者の業務を止めることができなかった。 USB メモリの販売預託商法を続けているウィル、 ヴィジョンも2度の業務停止命令を出した後、 関連会社の注意喚起しかできないのは、 法治国家として放置できない事態だ」 と、 力説する。 
 ジャパンライフは、 消費者庁が4回も業務停止命令を出しても被害は止まらず、 被害消費者による破産申し立てで、 東京地裁が破産手続き開始を決定したのは、 2018 年3月1日。 この時点でようやく被害は止まったが、 すでに本社ビルは売却され、 多くの不動産に抵当権が設定されていた。 詐欺的商法で集めたとされる 2000 億円を超えるお金は、 消え失せていた。 その上、 山口隆祥は業務転換で生き残ろうと社員を解雇しなかったため、 未払いの労働債権や社会保険料などが累積し、 それらが被害者への配当より優先され障害となった。 破産申し立てのための予納金を、 被害者から集めるのは非常に困難だという問題もある。 
 消費者庁の破産申し立て権については、 2013 年6月に財産被害に係る行政手法研究会の報告書で論点整理され、 今後の検討が期待されるとされたまま、 それ以後検討は全く進んでいない。 
 4月 27 日の衆議院消費者問題特別委員会で、 「消費者庁による破産申し立て制度を導入すべき」 と大西健介氏が質問したのに対し、 井上信治・消費者担当相は 「まずは、 消費者裁判手続特例法について、 検討する」 としか答えていない。 
 消費者裁判手続特例法は、 総理大臣に認定された特定適格消費者団体が消費者に代わって集団的被害回復訴訟等を提起することを認めるための法律。 来年通常国会への改正法案提出に向け検討が進んでいるが、 特定適格消費者団体の破産申し立て権については、 これまで議題に挙がっていない。 実際問題、 ジャパンライフ事件には破産申し立て権がなく、 対応できなかったが、 行政ができないものを、 数や財源、 悪質事業者の情報が限定されている特定適格消費者団体に期待するというのは本末転倒だ。 「業務停止命令に従わない極悪層に対し、 事業者の立ち入り検査などでデータを持つ行政庁が、 より早い段階で解散命令や破算申し立てを行うべき」 と石戸谷代表は訴えている。 

国会付帯決議「必要な検討」
解散命令 破産申立制度を創設
 国会の付帯決議には、 「加害者の不当な収益をはく奪し被害者を救済する制度、 行政庁・特定適格消費者団体による破産申し立て制度、 行政庁による解散命令制度の創設、 過去の被害事案の救済のための措置について、 消費者裁判手続特例法の運用状況の多角的な検討を踏まえて、 必要な検討を行うこと」 が盛り込まれている。 出資法の罰則引き上げは盛り込まれていない。 
 次回債権者集会は、 2022 年2月1日 (火) 14 時から、 東京地裁民事第 20 部債権者等集会場1で開催される。 

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