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2018/05/29

日本消費経済新聞2232号(2018年5月25日発行)

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解説
「ちゃぶ台返し」
要件削除は不可欠
 行政府が立法府に提案した法律の解釈が、 国会審議の最終段階で変更された。 しかも、 法案修正の論点になっている 「社会生活上の経験が乏しい」 適用範囲の解釈部分だ。 
 重要法案は本会議で趣旨説明、 代表質問が行われるが、 その時の大臣答弁をひっくり返すなど前代未聞だ。 本会議での答弁に基づいて、 国会議員が質疑をし、 修正案を提起しても、 その前提になる解釈がころころ変えられるのでは、 国会は行政府を信用できないということになる。 まさに 「ちゃぶ台返し」 だ。 
 そもそも、 消費者委員会の答申にない 「社会生活上の経験が乏しい」 という要件を、 拡大解釈をしてねじ込み、 修正やむなしという状況に追い込まれると、 引きこもり状態の人しか適用できないような限定的な解釈を示す。 最終的には裁判所が判断するとはいえ、 消費者庁がやることなのか。 
 大臣答弁の修正は撤回したというが、 その後の委員会答弁は、 本会議と同様の答弁には戻っていない。 霊感商法は例示にしか過ぎなかったはずだが、 適用範囲が国会審議を経てさらに不明確になっている。 そもそも、 元凶は 「社会生活上の経験が乏しい」 という要件を入れたことにある。 結論は1つ、 この要件は削除すればいいだけだ。 
 さらに、 新たに追加された2つの取消権も、 要件が厳格すぎないか。 野党修正案を与党は飲まず、 与党が提出した与党修正案を、 野党が付帯決議を盛り込むことで許容した経緯がある。 
 なぜ、 霊感商法だけが切り出されたのか。 特別な能力によって重大な不利益が生じると言われるだけで、 人は正常な判断はできなくなる。 なぜ 「確実に」 重大な不利益を回避することができる旨を告げられる必要があるのか。 
 加齢や心身の故障により 「判断力が著しく低下」 した人の不安をあおった場合の取消権は、 「著しく」 を規定することで、 最も救済する必要がある 「認知症と正常な人の中間にいる人」 (MCI と呼び、 2012 年度で認知症高齢者が約 462 万人、 MCI が約 400 万人いるとされている) がこぼれ落ちることはないのか。 進学、 就職、 結婚、 容姿、 体型は対象になっていないが、 中高年はこれらの要件をすべて外す必要があるのか。 
 さらに、 デート商法には、 何ら中高年への対応がされていない。 相談件数は 20 代が半数程度を占めるが、 逆にそれ以外の年代の人が半数近く相談しているともいえる。 60 歳代、 70 歳代、 80 歳でも一定の相談がある。 恋愛感情等の人間関係を乱用した場合の取消権も、 過大な不安をあおった場合の取消権も、 元々報告書に規定された要件だけで十分にハードルが高く、 そもそも、 社会生活上の経験不足の要件など必要ない。

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