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2018/04/07

日本消費経済新聞2228号(2018年4月5日発行)

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ジャパンライフ被害者に聞く

震災後、社員が畑仕事手伝う

支払われた保険つぎ込む

 破産手続きが始まっているジャパンライフ (東京都千代田区、 山口隆祥会長) の被害者約 20 人が3月 27 日、 国家賠償の請願のために、 衆議院議員会館にやってきた。 1月 30 日の衆議院予算委員会で、 希望の党の大西健介氏がジャパンライフの問題を追及しているのをテレビで見て、 どこに訴えていいか分からないと大西氏に請願書と署名簿約 2000 筆を手渡した。 大西氏は 「国会の委員会に付託できるかどうか検討して、 相応の手続きを取らせていただく」 と回答した。 被害者たちは、 どのように勧誘されてどの程度の被害に遭い、 今どのような状況に置かれ、 何を訴えているのか。 協力してくれる被害者たちを取材した。(相川優子)

 

「老後の施設、墓も面倒見る」

関連NPO理事長に内閣府元官僚

 東北地方で農業を営む 86 歳の男性は、 近所のおばあさんがジャパンライフの社員を連れて勧誘に来ても耳を貸さなかった。 東日本大震災で家を流され、 保険がおりていた。 しかし、 その社員は畑仕事を手伝うと言い、 定期的にやってきて、 野菜の種をまいたり、 収穫をしたりした。 男性は半年後には、 その社員が孫のようにかわいくなり、 根負けして、 震災でおりた保険や貯金をつぎ込んでしまった。

 男性の息子夫婦には子どもがおらず、 ジャパンライフの全国各店舗と電話番号を同じくする NPO 法人 「生き生きライフ」 を紹介された。 相続から老後の施設、 お墓まですべて面倒を見ると説明された。 理事長は、 内閣府国民生活局の元官僚だと写真を見せられ、 息子夫婦も信用してしまった。 「かわいい社員で、 老後はこの人たちに面倒を見てもらおう」 と思ったという。

 農協の定期預金や医療保険も解約してお金をつぎ込み、 契約金額は 3600 万円になっていた。 息子夫婦が請願に訪れ、 「甚大な自然災害に加えて、 人災にあった。 ジャパンライフは震災で大変な地域を狙ったと思う」 と話した。 地域には、 請願に来られない高齢者も多く、 「国は、 高齢者の悲惨な被害の現状を把握してほしい」 と訴えた。

 

保険定期解約し、被害1億円超

「預金8円。死、考えた」

 61 歳の女性は、 4年前にジャパンライフと契約をし、 被害額は 86 歳の母親と合わせて1億円を超える。 製造業で 40 年間働いて得た退職金をすべてつぎ込んでしまった。 保険を見直す専門の社員がやってきて、 満期時に入ってくる保険料と比較した具体的な数字を示され、 保険も解約した。 郵便局や銀行の預金、 定期預金は、 マイナンバー制度で税金がかかると言われ、 根こそぎチェックさせられ、 解約した。 老後も老人ホームをあっせんしてもらえると言われ、 すべての資産をつぎ込んでしまった。

 ジャパンライフからの入金が途絶え、 通帳には8円の残額しかなかった。 「ばかでした」。 年明けには死を考えた。 今は時給 700 円のアルバイトを始めたが、 「この先、 どうやって生きて行けばいいのか。 少しでも何とかならないのでしょうか」 と問いかけた。

 

誘った友人1人で泣いている

「死にたい」昔の関係には戻れず

 63 歳の女性は、 親や家族も含め 2000 万円を超える被害に遭ったが、 同社のカウンセラーとして月々数万円の報酬をもらって、 友人を勧誘してしまった。 1000 万円、 2000 万円、 700 万円と、 友人の被害額も高額だ。 カウンセラーで得た報酬はすべて新たな契約に回され、 手元にお金はない。

  「友人が老後に、 少しでもお金をためられればいいなと思った」 というが、 今となっては 「悪くて、 昔のような関係ではいられなくなった」 という。 友人も家族に相談できず、 1人で泣いていた。

  「大切な仲間だったのに、 引け目を感じる」 「死にたいと思った」 「ご飯ものどを通らない」 「下痢になって、 朝まで眠れない日が続いた」 「こんな年になって、 皆、 老後の資産をすべてなくしてしまった」 「会長は人間じゃない。 鬼だ」。 そう訴えた。

 

大物政治家とのつながり信用

無料でバス旅行

 65 歳の男性は、 妻と合わせて 2600 万円の契約をしてしまった。 同社の山口会長が大臣と食事をしたり、 大物政治家や有名なジャーナリストたちと定期的に懇談会を主催しているスライドを見せられ、 すっかり同社を信用してしまった。 トランプ大統領就任式の招待状も見せられたという。

 無料でバス旅行に招待され、 ジャパンライフ本社ビルやスカイツリーなどを見学し、 食事も振る舞われた。 「あれも、 私たちのお金が使われていた。 会社を辞めた後で、 貯えがなくなり、 老後がとても心配」 だという。 「消費者庁元課長補佐が天下り、 複数の官僚 OB が役員を務めていた。 消費者庁がもっと早く厳正な対処をしてくれていればここまで被害は拡大しなかった。 国家賠償を求めたい」 と訴えた。

 

家を売って払うと社員が念書

専門社員が保険解約勧める

 60 歳の女性は、 姉からの誘いを7年間断り続けてきたが、 8年前に姉と一緒にやってきたジャパンライフの社員が、 何かあったときは家を売って払うからと契約書の裏に念書を書いたことで契約してしまった。 年6%が還元されると誘われた。

 保険を見直す専門の社員から、 老後に支払われる具体的な数字を示され、 60 歳まで支払い5年据え置いて毎年何十万円ももらえる年金型保険も解約した。 銀行や郵便局の定期預金も解約し、 働いてコツコツ貯めてきためてきた 2000 万円をつぎ込んでしまった。 最初は磁気治療器のレンタルオーナー契約、 次は業務提供誘引提供 (モニター商法) の契約だったが、 すべて磁気治療器を買った契約に変更されていた。

 昨年 11 月 17 日の3回目の行政処分の報道をテレビで知り、 解約を申し出たが、 支払日の 12 月8日 (10 日が休日のため) に、 返金されることはなかった。 女性を誘った社員も騙されて高額な契約をしていたというが、 今はもう連絡も取れない。 新たな会社を立ち上げて、 これまで 100 万円で売っていた磁気治療器を 20 万円で販売すると説明された。 その額でもまだ、 利益があるという。 「最初からだますつもりでやっていた。 許せない」 とやり切れない思いを吐露する。

 

警察、被害届受理せず

「世の中、信じられない」

 2月には、 800 万円の契約をしている友人とともに、 自らの 2000 万円と合わせて 2800 万円分の被害届を地域の警察署に出しに行った。 ところが、 警察の担当者から 「この案件はまだ調べるなと言われている」 と告げられ、 被害届を受理してもらえなかったという。 「官僚から止められているのか」 とたずねると、 ただ、 ニコニコ笑っているだけだったと話す。 「世の中が信用できない。 弱い者の味方はいない」 と、 最近思うようになった。 「逃げ得は許せない」。 そう訴えた。

 一方で、 被害者の中には、 何十年もこの会社にかかわり、 磁気治療器で体調が回復したと信じている人たちがいる。 被害額は大きく、 他の被害者と同様に被害救済を求めているが、 会社側の説明をそのまま鵜呑みにしている人たちがいるのも現状だ。

 請願には来られない高齢者も多いという。 75 歳の女性は、 土方をして 10 時と 15 時の休憩時間に雇い主からジュース代として支給される 200 円を節約してコツコツ貯えたお金を 「根こそぎ持っていかれた」。 約 1400 万円になる。 毎月6万円の年金では暮らせず、 社会福祉協議会に相談している。 「少しでもお金を返してほしい」 と話している。


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