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2018/06/17

消費者契約法改正 日本消費経済新聞 2234号(2018年6月15日号)掲載分

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解説
消費者庁の論理
消費者目線からかい離
 衆議院本会議大臣答弁をここまで後退させ、 あくまで答弁は変更していないと言い張る消費者庁の役所の論理は、 消費者目線からかい離している。 
  「霊感商法等の悪徳事業者による消費者被害については、 勧誘の態様に特殊性があり、 通常の社会生活上の経験を積んできた消費者であっても、 一般的には本要件に該当する」 という衆院本会議大臣答弁と、 「契約の目的となるものや勧誘の態様に特殊性がある場合には、 取り消し権が認められやすくなる」 という参議院消費者特委の答弁に変更がないなどと説明されても、 一般消費者には意味不明だ。 
 民法の成人年齢引き下げへの政策的対応を打ち出したかったことが、 「社会生活上の経験が乏しいことから」 の要件追加の主な要因との指摘が国会で出された。 そのために、 これほど解釈を広げてねじ込んだものを、 今度は参考人から 「相談現場で無用の議論が生じるおそれがあること等から、 解釈を明確にするべき」 という意見があったとして、 整理という名目で答弁内容を変更した。 
 参考人からは、 『社会生活上の経験が乏しいことから』 の要件が残っていれば、 広く適用を認める解釈をとっても、 無用な反論、 無用な争点が残る弊害があり削除すべきという趣旨で、 「解釈の明確」 など全く求めていないとの意見が出ている (6月4日の参議院参考人質疑提出資料)。 この要件が中高年の適用を制限することは間違いない。 消費者の視点で、 すべての法律や制度を見直すために創設された消費者庁の歯車は狂ってしまったのか。 
 国会審議の大半を費やしても、 解釈が明確にできず、 国会審議で多くの議員が削除の必要性を指摘した要件を、 国会で削除できなかったのは、 残念でならない。 消費者関連法では、 与野党を超えて全会一致で修正を重ねてきた経緯からすると、 今回、 与党の一部に強い反対があり、 与党修正案をのむか原案に戻すか迫ったのも異例だ。 
 今となっては、 参議院消費者特委が消費者庁に提出を求めた分かりやすい解釈は、 参院付帯決議に盛り込まれた内容に沿って、 一般人が理解できる衆議院本会議の答弁を維持した内容になることを期待するしかない。 
 実質的に現場で広く運用し、 混乱が生じた場合は要件削除を改めて国会に要請することが求められる。 また、 衆議院の修正で追加された 「判断力が著しく低下している」 の 「著しい」 は、 参議院の審議の中で、 過度に狭く運用しないことが与野党修正案提案者の総意として確認された。 このことを踏まえ、 現場で運用していくことが大切だ。 
 消費者委員会が付言して答申で求めた 「高齢者、 若年成人、 障害者等の知識・経験・判断力の不足など消費者が合理的な判断をすることができない事情を不当に利用して、 事業者が消費者を勧誘し契約を締結させた場合における取消権 (いわゆるつけ込み型不当勧誘取消権)」 の創設は、 改正消費者契約法衆参両院の付帯決議のほか、 成人年齢を 18 歳に引き下げる改正民法の付帯決議にも、 法成立2年以内に必要な措置を講ずることが盛り込まれた。 早急な実現を期待したい。 
 地方消費者行政への恒久的な財政支援策の検討 (改正消契法付帯決議)、 地方消費者行政への十分な予算措置 (改正民法付帯決議) が盛り込まれた意義は大きい。 実現に向けた実効性ある検討に早急に着手することが望まれる。(相川優子)

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