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2020/06/18

日本消費経済新聞2300号(2020年6月15日発行)

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ジャパンライフ4回目の債権者集会
被害者に配当の可能性
約750人の契約解除で“光”
 約 2000 億円もの甚大な消費者被害を発生させた 「ジャパンライフ」 の被害者に、 わずかではあるが配当される可能性が出てきた。 6月 10 日、 東京地裁で開かれた4回目の債権者集会で、 約 7000 人の顧客のうち、 約 750 人が約 230 億円分の契約解除を申し出たことで、 破産管財人が東京国税局に対し、 消費税 10.5億円の還付申告をしたことが明らかになった。 これまでに回収できた5.7億円に対し、 被害者より優先して支払うべき未払いの消費税や、 ジャパンライフ元社員の給与・ボーナス分等が約7.4億円ある。 10.5億円が還付されれば、 被害者にもお金が回ってくる。 さらに多くの被害者が契約解除を申し出ることで、 還付額を増額できるが、 被害者からは 「皆高齢でお金もなく債権者集会に行けず、 情報は届いていない。 自動的に全員の契約を解除してもらえないのか。 せめて顧客名簿を持っている消費者庁や警視庁、 破産管財人から契約解除をすれば返金額を増やせる可能性があることを連絡してもらえないものか」 という声が出ている。 全国ジャパンライフ被害弁護団連絡会の石戸谷豊代表は、 「売買の実態がないのに本来消費税を取ること自体おかしく、 消費税は全額還付すべき。 10.5億円については当然還付すべき」 と指摘している。(相川優子)

消費税10.5億円還付を国に申告
より多くの契約解除へ、どう情報届ける
 磁気治療器のレンタルオーナー商法を展開し破綻し、 東京地裁が破産手続き開始決定 (2018 年3月1日) をしてから、 2年3カ月。 ようやく一般債権者にも配当される見通しが出てきた。 
 被害者のうち約 750 人が、 破産管財人に契約解除や契約取消の意思表示をしたことで、 ジャパンライフが国に支払っていた消費税が還付される可能性が出てきたためだ。 その額は被害者の1割強で 10.5億円と、 少なくない。 全員が契約を解除すれば、 相当額の還付を求めることができる計算になる。 
 クーリング・オフは、 契約書面が交付された日から8日以内 (訪問販売等、 連鎖・業務提供誘引販売は 20 日以内、 預託取引は 14 日以内) しかできないが、 契約書面に不備があった場合はいつでもできる。 ジャパンライフの場合はほとんどのケースがこれに該当すると考えられる。 また、 訪問販売以外でも、 事業者が不実告知や故意の不告知をしたことで消費者が誤認して契約した場合は、 契約の意思表示を取り消すこともでき、 ジャパンライフの場合は契約の商品がほとんどなかったため、 これにも該当すると考えられている。 
 債権者集会後に会見を開いた全国ジャパンライフ被害弁護団連絡会の大迫恵美子事務局長は、 「1割強の被害者の解約で還付申告額が 10.5億円。 より多くの被害者がクーリング・オフや契約取消の手続きを取ることで、 配当できる額を増やすことができる明るい見通しが出てきた」 と報告。 より多くの被害者が、 破産管財人にクーリング・オフや契約取消を通知するはがきを送るよう呼びかけ、 マスコミにも報道を求めた。

政治献金返還されないまま
顧問料、返還意向ごく一部
 同日の債権者集会への参加者は、 新型コロナウイルス感染症の影響もあり、 30 人弱。 ジャパンライフの山口隆祥元会長は今回も欠席した。 破産者代理人から、 心臓の術後に加え、 大腸ポリープや糖尿病により右目がほぼ失明に近く、 絶対安静で手術を待っている状況と説明がなされたという。 10.5億円の消費税の還付申告のほか、 本社ビル売却額から1億 3000 万円が送金された人物との和解が成立し、 約1億 3000 万円が回収できたことなどが報告された。 そのお金で購入されたマンションを売却し、 労働実態がないにもかかわらず給与を得ていた母親への不当利得返還請求訴訟と併せて和解した。 
 不動産は、 3回目の債権者集会以降4件が売却され、 約 2500 万円を回収した (約 80 店舗の支店のうち自社ビルは 17 支店だったが、 ほとんどが銀行や国税の抵当物件で、 競売で売却され相殺された残金等が回収された)。 残る不動産は仙台支店と広島支店2件で、 近く売却予定だ。 
 ジャパンライフの顧問に就任していた元官僚らの報酬が高額であることが指摘されてきたが、 一部の人が、 一部返還に応じる意向を示しているに過ぎない。 政治献金も当初に 40 万円が返金されて以降、 返金は行われていない。

「販売預託、組織的詐欺の温床」
「加害者側の配当優先問題」弁護団
 ジャパンライフ元社員の労働債権 (未払いの給与やボーナス) については、 エリアマネージャーら 16 人と、 過去に支払われた奨励金の返還請求と未払い賃金等との相殺で合意し、 約 1300 万円が減額された。 しかし、 今なお、 被害者への返金より優先される労働債権が4.6億円ある。 未払いの消費税約1.3億円、 地方税1.5億円も、 被害者への返金より優先される。 
 全国ジャパンライフ被害弁護団連絡会の石戸谷豊代表は、 「老後の資産のほとんどを失った高齢被害者は、 お金の問題もあり生きる意欲そのものが失われる。 自殺者を出さないよう頑張ってやってきた。 配当への光が差してきたことで、 元気付けられる」 と、 配当の可能性が出てきたことを評価しつつも、 「せっかく努力して集めたものが、 被害者より先に加害者側に配当されることが社会的に許されるのか」 と力説。 引き続き、 被害者への配当より従業員への支払いを優先させないよう求めた。 
 また、 預託法等の見直しを議論している消費者庁の検討会では、 「ジャパンライフ問題を背景に販売預託商法は、 組織的詐欺の温床になっていることが、 各界で認識される状況になってきている」 と報告。 2度と同様の被害を生まない、 実効的に被害を防止し得る法改正と、 ジャパンライフとその関係者の速やかな刑事処分を求めた。

被害者の会「被害者に情報届かない」
契約解除の必要性、顧客に連絡を
 コツコツためてきた約 7000 万円の老後の資金をジャパンライフにつぎ込まされた東北地方の女性 (85 歳) は、 「全然返金されないとあきらめていたけれど、 ちょっとでもお金を返してもらえるのはうれしい」 と、 債権者集会直後の息子から電話に、 こう答えた。 「主人がお刺身を食べたいと言っても、 もったいない、 ぜいたくはできない。 あのお金があったらといつも思ってしまう」 と話していた。 
 ジャパンライフ被害者の会の佐藤良一代表は、 「被害者のほとんどが高齢で、 債権者集会にも出られず、 必要な情報が届かない。 返金があるのか、 いつ返金されるのか分からない中で苦しんでいる人が多く、 食費や電気代をギリギリまで切り詰め節約している。 破綻から2年経ち、 亡くなる人が少なくない。 栄養失調で孤独死をした人も出ている」 と深刻な状況を訴える。 
  「より多くの被害者が契約解除通知を出そうにも、 弁護団に入っていない被害者が多く情報を届けることができない。 私たちが連絡しようにも、 把握できている被害者は一部に過ぎない。 顧客名簿を提供していただければ、 こちらから契約解除届けを出すように連絡したい。 難しいというのであれば、 行政機関から、 この情報を被害者に届けていただけないか」 と話している。 
 次回債権者集会は、 12 月9日 (水) 14 時から、 同日と同じ東京地裁民事第 20 部債権者等集会場Ⅰで開催される。

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