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2019/12/18

日本消費経済新聞2284号(2019年12月日発行)

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ジャパンライフ問題を総括②
なぜ被害拡大防げなかったのか
4度の行政処分でも被害止められず
 ジャパンライフは、 100 万円から 600 万円もする磁気治療器を購入してレンタルオーナーになると、 販売価格の 6%を還元するとうたって、 高齢女性を中心に老後の資金のすべてをつぎ込ませ、 約 1800 億円もの消費者被害を生じさせた。 消費者庁は 4 度も行政処分をしたが、 結局被害を止めることはできなかった。 全国ジャパンライフ被害弁護団連絡会(石戸谷豊代表)の被害者による破産申し立てで、 東京地裁が破産開始手続きを決定したことで、 ようやく被害が止まった。 4度も行政処分をしなければならなかったというのは、 1回の行政処分がいかにまずかったかということの裏返しでもある。 ジャパンライフ問題の総括2回目は、 消費者庁の行政処分内容について問題提起する。(相川優子)

1回目行政処分なぜ、違反認定事例が2年も前
レンタル事業の収支「事業者に聞いてほしい」
“取材の出発点”支離滅裂な処分内容
 ジャパンライフに消費者庁が1回目の行政処分を行ったのは 2016 年 12 月 16 日。 訪問販売、 連鎖販売取引、 預託取引の3カ月の業務停止命令だった。 
 消費者庁が記者会見で公表した相談件数は、 2014 年以降 16 年 11 月 10 月までの 401 件のみ。 契約者の年齢は、 80 歳代 37%、 70 歳代 36%、 60 歳代9%、 90 歳代2%と、 8割を 70 歳以上が占めていた。 
 驚くべきことに、 平均契約金額は約 1700 万円、 最高額は約2億円もある。 
 特定商取引法の行為違反の認定は 「無料でエステやマッサージをする」 などと訪問して、 勧誘目的を明らかにせずに勧誘した勧誘目的不明示のみ。 預託法でも書面交付義務違反、 書類の据え置き義務違反にとどまっている。 
 しかも、 違反原因を認定した事例は、 2015 年1月から3月。 2年近くも前の事例と古い。 「『腰痛も治る』 などと言って磁気の布団と枕のセットの購入を勧め」 とあるにもかかわらず、 不実告知も認定していない。 

平均契約額1700万円
“現物まがい”ではないのか
 レンタルオーナーとレンタルユーザーの収支のバランスは取れているのかとの再三の質問に、 当時の佐藤朋哉・消費者庁取引対策課長は 「オーナー契約者数が数千人、 契約額は数百億円。 後は事業者に聞いてほしい」 としか答えなかった。 過去の相談件数についても一切回答しなかった。 
 ジャパンライフは、 レンタルオーナーとレンタルユーザーの数について 「訴訟を予定しているので、 一切答えられない」 としか答えない。 
 国民生活センターに取材すると、 2006 年以降 1395 件 (2016 年 12 月 20 日登録分) もの相談が寄せられていた。 2010 年度は 137 件、 2011 年度 146 件、 2012 年度 165 件、 2013 年度 156 件、 2014 年度 165 件、 2015 年度 165 件の相談がある。 
  「おかしい。 絶対に何かある」 「平均契約金額約 1700 万円。 現物まがいではないのか。 であれば大変なことにある」。 記者魂に火がついた。 

元課長補佐の天下りを報道
2017年通常国会で追及始まる
  「ジャパンライフ 2016 年会社案内」 で、 顧問に、 消費者庁取引対策課の水庫孝夫元課長補佐が就任していたことが確認できた。 顧問として、 元内閣府国民生活局長や、 元経企庁長官秘書官、 元朝日新聞政治部長らの名前も掲載されていた。 本紙は正月号 (2016 年 12 月 27 日発行) でこの1回目の行政処分と、 元消費者庁取引対策課課長補佐が天下っていた事実を併せて報道した。 
 2017 年2月7日、 衆議院予算委員会で、 井坂信彦氏 (民進党、 当時) が消費者庁の天下り問題を取り上げ、 「消費者庁の本来業務がねじ曲げられることがなかったか」 検証を要請。 2月9日の民進党 「消費者部門会議」 では、 井坂衆議院議員をはじめ、 大西健介衆議院議員、 中根康浩衆議院議員、 矢田稚子参議院議員らが、 行政処分にすべき案件を指導で済ませていないか、 行政処分の時期を組織ぐるみで遅らせていないかなどを追及した。 2017 年通常国会以降、 この問題は国会でも取り上げられることになる。 

2回目の行政処分、なぜ現物まがいネックレスのみ
レンタル商品不足、認定は1種の商品のみ
レンタル事業の収支「言う立場にない」
 2回目の行政処分は 2017 年3月 16 日。 前回と同様の訪問販売、 連鎖販売取引、 預託取引で9カ月の業務停止命令だ。 
 ジャパンライフへの立ち入り検査から1年半。 ようやく消費者庁は現物まがいであることを認定した。 しかし、 レンタルしている商品が大幅に足りないと認定したのは、 磁気ベストや磁気ベルトなど 20 数種類ある商品のうち、 1種類の磁気ネックレスのみ。 「『ファイブピュアジュエール』 というネックレスを2万 2441 個販売し、 レンタルする目的で預かっていたが、 実際にレンタルされていたのは、 2749 個に過ぎなかった。 工場には 95 個しかなく、 それも販売して預かった商品ではなく、 今後新たに販売するための商品だった。 2015 年3月末から 2016 年 12 月末まで継続していた」 というのが違反認定の内容だった。 
 立入検査直後からではなく、 天下り問題が公にされて以降、 方針を切り替えたのではないのか。 消費者庁は当時、 このネックレスが一番多く販売されていることを理由に挙げたが、 であればなお、 1年半もあればすべての商品で確認ができたのではないのか。 違反認定が非常に分かりにくい。 
 もう1つ、 2014 年度の短期レンタルオーナー契約 (1年満期でいつでも解約可) 額が約 287 億 7000 万円あり、 本来は預かり金として負債額として記載しなければならないが、 全体の負債額が約 94.5億円と虚偽の記載をしていたとしているが、 これも、 分かりにくい。 

外部監査結果の報告を要請
ジャパ社に顧客への通知求める
 同日の会見で、 本紙はレンタルオーナーとユーザーの数、 月々のレンタルオーナーへの支払額、 レンタルによる収入額、 月々の新規契約額、 想定被害額などを再三質問したが、 これについても佐藤取引対策課長は 「違反として認定していない数字は、 言う立場にない」 と、 一切答えなかった。 「ジャパンライフは、 レンタルオーナーの数は 7200 人、 契約額は 690 億円、 レンタルユーザーの数は1万 8000 人と説明しているが、 実態かどうかは認定していない」 としか答えてない。 何のために公認会計士を伴って立入検査をしたのか。 
 一方、 ジャパンライフ側の説明は、 「事実と違うところがあるため、 処分について速やかに異議申し立ての行政訴訟をする。 貸借対照表について消費者庁は間違った見方をしているので、 公認会計士が正しい資料を提出して抗議をしている。 商品数が足りていないと指摘されている点についても、 訴訟の中で事実関係を明らかにしていく」。 
 消費者庁の説明が正しければ、 48 億円としている純資産は、 虚偽ということになるが、 なぜ、 粉飾決算だと自ら明確にしなかったのか。 
 消費者庁は、 粉飾決算を明確にせず、 ジャパンライフに対し、 第三者の監査法人か公認会計士による外部監査を受け、 5月1日にまでに消費者庁長官に報告することを求める措置命令にとどめた。 併せて、 その内容をすべてのレンタルオーナーに文書で速やかに通知し、 その結果を5月 31 日までに消費者庁長官に報告することを求めたが、 このことが、 今後、 さらに被害を拡大させていくことになる。 

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