日本消費経済新聞は、生活者優先時代を実現するため、消費者行政、消費者問題、企業の顧客対応の情報を全国に発信する専門紙です
 

2018/01/26

日本消費経済新聞2221号(2018年1月25日発行)

Tweet ThisSend to Facebook | by:管理者
ジャパンライフ元社員が証言
債務超過知らせる通知
顧客に届かぬよう工作
 ジャパンライフは消費者庁の措置命令に従わず、 債務超過であることを解約のおそれがある顧客に通知しないよう、 わざと間違った住所に送ったり、 会社に協力的な活動者にまとめて送るよう本社が指示していたことが、 元社員の証言で明らかになった。 高齢者の顧客が読めないように、 わざと一番薄いモードでコピーをして送付し、 消費者庁の指摘で再度印刷し直して再発送していたことも確認できた。 解約を阻止するよう本社が求め、 解約阻止額を各店舗の入金実績として競わせ、 返金阻止額の1%の報奨金を出す社内規定も整備されていた。(相川優子)

本社が指示、間違った住所に送付
読めないよう薄く印刷
 消費者庁は同社に対し、 4度の業務停止命令を出しているが、 2017 年3月 16 日に2度目の業務停止命令を出した際に、 預託法に基づき 「レンタルしているはずの一部商品が大幅に不足しているにもかかわらず、 故意に告げていなかった」 「2014 年度の賃借対照表で負債額を過少に記載していた」 違反を認定。 ①違反認定の内容をすべての預託者に通知し、 その結果を4月17 日までに消費者庁長官に文書で報告する②公認会計士による監査を受けその結果を5月1日までに消費者庁長官に文書で報告する③監査結果を預託者全員に速やかに書面で通知し、 通知した結果を5月 31 日までに報告する―などの措置命令を出していた。 
 これに対し、 ジャパンライフが3月 31 日付で送付したのは、 消費者庁が認定した違反事実が誤りであるかのような措置命令とは真逆の内容の文書。 5月 13 日付で送付されたのは、 「3月度は初の月間売上 30 億円達成できました」 「4月度はさらに売り上げを更新」 などと説明する驚くべき内容の文書だった。 一覧表に赤字で 「3月度売上実績 30 億 558 万円」 「4月度 35 億 5849 万円」 などと記載されていた。 
 その後、 消費者庁の指導で、 ようやく8月 28 日付で 「2015 年度末時点の純資産額が、 約 266 億円の赤字」 であること、 9月 11 日付で 「2016 年度末時点の純資産額が約 338 億円の赤字」 であることが通知されるが、 この通知を顧客に届かないよう本社が指示していたことが分かった。 
 これらの通知が届くと解約のおそれがある、 不安を感じるおそれがある顧客の住所を、 社員の住所など別の住所に差し替えて、 戻ってくるようにした。 さらに、 会社に協力的な活動者のところに、 解約のおそれがある顧客の通知も何通かまとめて送って、 直接本人に届かないようにした。 「消費者庁にばれないよう、 少人数に分けて活動者に送った」 と元社員は証言する。 
 通知の内容が読めないよう、 コピー機の一番薄いモードで通知文書をコピーして発送したこともあった。 「顧客から 『読めない』 『全く見えない』 などのクレームが入り、 消費者庁からも突っ込まれ、 結局再印刷して再発送し、 2度手間だった」 と元社員は振り返った。

解約阻止を本社が指示
金券で解約思いとどまらせる
 債務超過の通知が顧客に届き、 解約希望が出始めると、 解約を阻止するよう会社から指示が出ていたことも、 社員の証言で明らかになった。 1カ月解約を遅らせた場合に、 100 万円につき1万円の金券 (ジャパンライフの商品を購入できる) を出した。 1000 万円の解約を1カ月ずらすと顧客は 10 万円分の金券がもらえる仕組みだ。 社員に対しても、 返金を取り下げるとその額の1%の報奨金がでる社内規定もあった。

社員に返金阻止額1%の報奨金
社内規定で明記
  「勝手に報道しているだけで、 ジャパンライフは悪くない」 「今まで問題なくやってきたから大丈夫」 ―。 何度も顧客宅に足を運び、 こう説得した。 返金を阻止すれば、 その返金阻止額が店舗の入金実績になった。 報奨金も出る。 社内規定の名称は、 「返金取下げ継続奨励金支給規定」。 返金取り下げに協力したチームリーダーやチームメンバーに、 返金を取り下げた額の1%を報酬として支払われる。 3000 万円をチーム5人が協力して返金を取り下げさせた場合は、 全員に6万円ずつ計 30 万円が支給されることが明記されていた。

「内心、センターに駆け込んで」
弁護士、センター介入で解約できた
 しかし、 「毎日ストレスを感じながらも、 消費生活センターに駆け込んでほしいと願っていた」 とも元社員は本音を明かす。 消費生活センターがあっせんに入る、 あるいは、 弁護士に解約を依頼した場合は、 すべて担当が本社に変わり店舗では対応できなくなる。 その場合は、 ほとんど解約に応じていたのではないかと元社員は話した。 
 2017 年 12 月 15 日、 消費者庁が4回目の業務停止命令を出したときの会見で、 「返金取下げ継続奨励金支給規定」 の存在が明らかにされた。 日付は7月 22 日付、 9月 26 日付。 2017 年 11 月 17 日に3回目の業務停止命令を出したときに迷惑解除妨害の違反を認定しているが、 本来はこのときに公表すべき資料だった。

天下りで対応後手
消費者庁の責任大きい
 2回目 (2017 年3月 16 日) の業務停止命令の違反認定は、 本来は1回目 (2016 年 12 月 16 日) に行なわれてしかるべき内容だ。 そもそも、 消費者庁は粉飾決裁だと自らの処分の中で指摘しておきながら、 このような事業者に対し、 措置命令で、 公認会計士等による監査を受け報告を求めたこと自体に問題があった。 粉飾決済を消費者庁自ら違反認定し、 現物まがい商法でレンタルオーナーとレンタルユーザーの数が大幅に見合っていないことを公表して分かりやすく周知していれば、 これほど被害を拡大させることはなかったはずだ。 
 2015 年9月 10 日の立入検査時に消費者庁取引対策課に在籍していた公認会計士が 2016 年7月に契約の任期が切れて退職しているが、 せめて、 この間に厳正な行政処分を行うべきだった。 消費者庁取引対策課元課長補佐や複数の大物官僚 OB が同社の顧問に天下ったことで、 この事案への立入検査自体が遅れ、 それ以降の行政処分も遅れた可能性を本紙は指摘し続けてきた。 安愚楽牧場の破たんを受けて、 政省令を改正した直後からしっかり取り組み、 厳正処分、 業務停止命令違反による刑事告発を早急に行うべき案件だった。 
 行政処分は時期、 内容、 周知が適切であって初めて意味をなすが、 消費者庁は帳尻を合わせるかのような後手後手の対応に終始してきた。 ここまで被害を拡大させた消費者庁の責任は大きい。

11:50