日本消費経済新聞は、生活者優先時代を実現するため、消費者行政、消費者問題、企業の顧客対応の情報を全国に発信する専門紙です
 

2018/02/06

日本消費経済新聞2222号(2018年2月5日発行)

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ジャパンライフ元社員から宣伝用資料入手

首相桜を見る会、二階幹事長も広告塔

 消費者庁から4度の業務停止命令を受け、事実上倒産したジャパンライフ(東京都千代田区、山口隆祥会長)元社員らから1月25日、顧客の説明会で使用する資料=写真=を入手した。安倍晋三首相から山口会長に届いた「桜を見る会」の招待状や、加藤勝信一億総活躍担当相(当時)と山口会長との会食、山口会長主催の二階俊博幹事長を囲む懇談会などが含まれていた。懇談会の参加者メンバーには、著名なジャーナリストや大手マスメディアの解説委員、編集委員なども掲載されている。これらの資料は毎月3回顧客を集めて開催される説明会で映し出されるスライドとして使用されるほか、社員が自由に印刷してファイルに入れ、高齢女性ら顧客を勧誘する際に提示し、同社を信用させるために用いられていた。大物政治家だけでなく、大手マスメディアの幹部や元幹部らも広告塔として利用されていた。(相川優子)

 

著名ジャーナリストや

大手マスコミ解説委員らも

 ジャパンライフは、100万円から600万円の磁気治療器を購入してレンタルオーナーになると、販売価格の6%を還元するとうたって、高齢女性を中心に多額の老後の資金をつぎ込ませてきた。レンタルしているはずの商品が大幅に不足している現物まがい商法だったが、業務停止命令を受けた後も、6%の名目を巧妙に変え、同様の契約を繰り返してきた。負債総額は約2405億円。金の現物まがい商法で破綻した豊田商事を上回り、安愚楽牧場に次ぐ戦後2番目の消費者被害になると見られる。

 被害者の多くが高齢の女性で、定期預金や保険などを解約して、老後の資産のほとんどをつぎ込んでいた。各地の弁護団には「老後の生活費がない。死ぬしかない」など、深刻な相談が寄せられている。全国ジャパンライフ被害弁護団連絡会(石戸谷豊代表)は、被害者による破産申し立てに向け、精力的に準備を進めている。

 

衆予算委で大西健介氏追及

「知らない招待客もいる」安倍首相

 1月30日、衆議院予算委員会で希望の党の大西健介氏はこの問題を追及し、安倍首相に答弁を求めている。ジャパンライフが1回目の業務停止命令を消費者庁から受けたのは2016年12月16日。加藤大臣との会食や二階幹事長との懇談会はその直後に行われている。大西氏は、「重要閣僚や自民党ナンバー2の人と会食をし、『桜を見る会』からも招待される立派な人がやっているから大丈夫だろうと、おじいちゃんやおばあちゃんはだまされても不思議はない」と、総理の見解を求めた。安倍首相は「『桜を見る会』は、約1万3000人に招待状を出しているが、存じ上げている人ばかりではない」との答弁にとどめ、「何よりも消費者の保護を図ることが第一で、引き続き消費者庁で対応に万全を期す」と述べた。


「意図的に会ったことない」加藤大臣

資料掲載ジャパ社に抗議

 加藤大臣に対しては、大西氏は、加藤大臣との会食の資料が「返金撤回に使われた」ことへの見解を求めた。ジャパンライフの社内向け資料に、「加藤大臣と会食したというスライドを活用して、岡崎店で2件、1億5000万円の返金を撤回させることができた」とする記録があることを明らかにした。

これに対し、加藤大臣は「意図的に(山口会長に)会ったことは全くない」と答弁。「私どもが承知していない形で資料が掲載されていることについて、ジャパンライフに抗議している」と述べた。

 事実関係については、「1月13日にマスコミ主催の経営者の勉強会に出席し、あいさつをした」「2013年にマスコミの方との勉強会があるから話をしてくれということで出席した。その時に(山口会長に)最初に会った」と、説明している。


「ジャパ社主催、認識ない」

「与野党問わぬゲストに」二階幹事長

 大西氏は、山口会長主催の二階俊博幹事長を囲む懇談会の資料には「二階幹事長の顔写真とともに、だれもが知っているマスコミの解説委員クラスの顔写真と名前も載っている」ことを明らかにした。「元社員によれば、毎月、帝国ホテルで開かれているミレニアムの会」であるとも説明している。

 二階幹事長は国会答弁には立たないため、二階幹事長に取材を求めると、「マスコミ関係者がゲストを招いて時事を語り合う会との説明だった。これまで、与野党を問わずゲストが招かれているということで、会に出席した。毎月出席している事実はない。ジャパンライフの主催であるとの認識は全くなかった」と、幹事長室から回答がきた。

 

「雇用関係ない」時事

「橘氏に聞いて」毎日、日経

 マスコミ各社に対しても、資料に掲載されている解説委員らが、ジャパンライフが定期的に開催している情報交換会のメンバーか、いつから何回くらい参加し、趣旨、内容はどのようなものであったか、報道への影響があったか、について取材を申し入れた。

 これに対し、時事通信社社長室は「雇用関係は全くなく個人で活動され、報道への影響は全くない」と回答。特別解説委員で報酬は出ていないと説明した。毎日新聞社社長室広報担当は、この会に参加していたことは認め、「2人とも、(元朝日新聞政治部長の)橘優さんから誘われて出席したことがあります。詳しくは橘さんにお聞き下さいと申しております。ジャパンライフ問題に関しては適切な報道に努めております」と文書で回答した。

 日本経済新聞社広報室は、「旧知の橘氏から声をかけられ、お問い合わせの会に参加しました。詳細は橘氏におたずねください。会へ参加したことなどが当社の報道に影響を与えたことは一切ありません」と文書で回答した。

 

「取材目的で参加」NHK

1、2回目の行政処分ネットで配信

 消費者庁の4回の業務停止命令について、3回目と4回目は大手マスコミのほとんどが報じているが、1回目(2016年12月16日)を報じたのは、本紙が確認できた限りでは、日経と共同のみ。2回目(2017年3月16日)は、日経、朝日、毎日、読売、産経、共同、時事。テレビで放映されたのは、FNN、TBSのみだった。

 NHKには、なぜ、2回目の行政処分を放送しなかったのかも聞いた。ジャパンライフの被害者は高齢女性がほとんどで、レンタルされている商品が大幅に不足していることがテレビでもっと放映されていれば、被害の拡大が少しは抑止できたと考えられる。

 これに対し、NHK広報局は「解説委員はジャーナリストなどが集まる懇談会に取材を目的に参加していたもので、取材の個別の過程については回答しておりません。ジャパンライフをめぐるNHKの報道は、報道機関として自主的な編集判断のもと行っており、計4回にわたる業務停止のニュースは、すべて放送やインターネットでお伝えしています」と文書で回答している。

 

山口会長が食事代負担

借り作らないよう対応

 大手マスコミをすでに退社している参加者の中には、「懇意にしている橘さんから勉強会に来ないかと誘われ、参加した。政治家と意見を交換する貴重な場だった。山口会長が発言することはなく、ジャパンライフ主催であることは知らなかった。参加が可能なときに、10回ほど参加した。山口会長が食事代を負担していることを知り、品物を送った。行政処分を受けている会社だとは全く知らなかった。申し訳ない。政治の世界ではすべてを排除すると取材ができないため、身を投じて話を聞くが、トータルとしては借りを作らないようにしている」と話した人もいた。

 毎日や日経と同様に「橘氏に聞いてほしい」とのみ回答した人もいた。

 

朝日元政治部長橘氏

ジャパンライフ顧問

 では、元朝日新聞政治部長の橘優氏とは何者なのか。ジャパンライフ2016年会社案内では、消費者庁取引対策課元課長補佐と並んで、顧問として掲載されている。朝日新聞社に対して、橘氏がジャパンライフの顧問を務めていることに関して問い合わせたが、朝日新聞社広報部は「7年ほど前に退職しており、顧問をされているかについて弊社として把握しておりません」と回答するのみだった。

 独自のルートで橘氏の連絡先を突き止め、橘氏に都内で面会し、直接、話を聞いた。「(二階幹事長との懇談会が)こういう風に使われるとは予想もしていないことで、出席者にとっては心外だ。山口会長から今度は二階幹事長と懇談会をやるから、知り合いに声をかけてほしいと頼まれて声をかけた。この会は夕食の会で1回のみ、いわゆる朝食をとりながら懇談するミレニアムの会とは違う。お金は山口会長が出したのかもしれないが、出席者は山口会長がいわゆる主催者だという認識はなかったと思う」と釈明した。

 ミレニアムの会は、帝国ホテルで年に数回開催される政治家との懇談会で、山口会長が事務方を引き受けていると説明した。

 なぜ、ジャパンライフの顧問に就任したのかについては、「山口会長とは、30年近く前から政治家の会合などで顔見知りで、文化協会のスポンサーになるにあたって、仕事をしてくれと頼まれた。文化協会からは報酬が出ないので顧問という形でなにがしかの手当てをしたいという申し出を受けた。4年くらい前から昨年の7月まで代表理事をしていた」と経緯を話した。ジャパンライフが業務停止命令を受けていたことについても、「3回目の行政処分(11月17日)をNHKの報道で知って、びっくりした」と語った。

 

「お金は出してもらったが

主催とは思っていない」

 橘氏によると、今回の二階幹事長を囲む懇談会はミレニアムの会とは別ということだが、二階幹事長室の回答では、ゲストが与野党を問わず招かれる会ということで受けたと説明しており、継続している懇談会との認識だ。ジャパンライフ元社員は、「マスコミ関係者との情報交換会は継続的に行われ、スライドが他の大物政治家の場合もあったが、常連で出ているマスコミ幹部もいた」と、何度も同様の別バージョンのスライドが作られていたと話す。ミレニアムの会かどうかは別として、山口会長が食事代を負担して政治家を招く、ほぼ同様のメンバーによる情報交換会が継続的に行われていたようだ。

 橘氏は、ミレニアムの会の参加メンバーで山口会長に何回かお返しの会食をしたこともあると説明する。お金を出してもらっていたことは認識していながら、「主催とは思わなかった」という感覚は、ある種タニマチ的でもある。大物政治家と変わらず、脇が甘い。

 高齢女性が老後の資産のほとんどをつぎ込む深刻な消費者被害が出ている。社員の中にも、だまされて勧誘してしまい、自ら多額の出資した人もいる。山口会長が政治家との関係が深く、宣伝用スライドで著名なジャーナリストが出てくることで信用してしまった人も少なくない。ジャパンライフは、4度の業務停止命令を受けた後も、顧客に「的外れな消費者庁の業務停止命令、思い込みの報道」などと説明し、いまだに「倒産はしていない」と主張している。これだけ多額の資産をつぎ込まされても、マインドコントロールから脱せない高齢女性が多数いる。

 業務停止命令を受けた事業者から、食事代や会場代を出してもらって継続的に情報交換会に参加していたとしたら、「主催者とは知らなかった」ではすまされないのではないだろうか。橘氏に誘われたとしても、自らが判断して出席したはずだ。参加していたジャーナリストやマスメディアの解説委員らは説明責任があるのではないか。


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