日本消費経済新聞は、生活者優先時代を実現するため、消費者行政、消費者問題、企業の顧客対応の情報を全国に発信する専門紙です
 

2020/12/09

日本消費経済新聞2316号(2020年12月5日発行)

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ジャパンライフ被害者の救済へ
「契約解除呼びかけを」「消費税返還を」
衆院消費者特委で大西健介氏追及
  「顧客名簿を持っている消費者庁が、 警察庁や法務省と協力して、 ジャパンライフの被害者に契約解除を呼びかけてほしい」 ―。 11 月 26 日の衆議院消費者問題特別委員会で、 立憲民主党の大西健介氏は、 約 2100 億円と見られる甚大な消費者被害を出したジャパンライフの被害者が少しでも救済されるよう、 消費者庁に顧客名簿に基づく被害者への契約解除呼びかけを求めた。 2年9カ月に及ぶ破産管財業務で回収できたお金はわずか5.7億円。 被害者より先に支払うべき元社員の給与・ボーナス、 国税未納分が7.4億円もある。 約 7000 人の被害者のうち、 約 750 人 230 億円分の契約解除手続きが行われたことで、 破産管財人が約10.5 億円分の消費税の還付申請を行っているが、 債権者集会に参加できない地方の高齢な被害者が多く、 情報が届いていない。 さらに契約解除が進めば、 その分の消費税が戻る可能性があるが、 消費者庁の答弁は 「消費生活センター等の周知」 にとどまった。 財務省に還付申請への対応を問う質問に、 伊藤渉財務副大臣は 「法令に照らし、 適正迅速に取り扱う」 と一般論の答弁にとどめたが、 「被害者の心中察するに余りある」 と述べている。 大西氏は 「そもそも現物がなく、 売買は成立していない」 として、 全額消費税を返還することを求めた。(相川優子)

消費者庁答弁「センターの周知」にとどまる
伊藤財務副大臣「被害者の心中察する」
回収額5.7億円、元社員等への支払い7.4億円
被害者契約解除で消費税10.5億円還付申請
 ジャパンライフの消費者被害は、 2003 年 11 月から長期に継続されたため、 平均被害額が約 3000 万円と高額なのが特徴だ。 高齢女性を中心に老後の資産のほとんどをつぎ込まされた。 「全財産を入れ、 毎日泣いて、 何度も死のうと思う」 など、 苦しい生活を余儀なくされている。 家族からも責められ、 未だに家族や親戚に内緒にしている被害者もいる。 
 被害者による破産申し立てで、 東京地裁がジャパンライフの破産手続き開始を決定したのは、 2018 年3月1日。 以後、 破産管財手続きが行われてきたが、 資産は散逸し、 残された不動産もほとんどに抵当権が設定され、 集めたお金のほとんどが消え失せていた。 
 2020 年6月 10 日、 4回目の債権者集会で明らかにされた回収額はわずか5.7億円に過ぎない。 これに対し、 被害者よりも優先して支払うべき未払いの消費税や、 ジャパンライフ元社員の給与・ボーナスが7.4億円ある。 山口隆祥元会長の妻名義の貸倉庫から見つかったとされる現金約 6000 万円も、 何段階かの手続きを経てその一部が組み入れられたとしても、 被害者には回ってこない。 
 破産管財手続きの過程で、 約 7000 人の被害者のうち、 約 750 人が約 230 億円分の契約解除手続きを破産管財人に行ったことで、 破産管財人が東京国税局に対し、 消費税約 10.5 億円の還付申告を行っている。 この 10.5 億円が返還されれば、 被害者への返金の可能性が出てくる。

解約1割強、高齢被害者に情報届かず
「消費者庁は顧客名簿で周知手伝いを」
  「まだ、 全体の1割強しか解約していない」 と大西氏。 「債権者集会等で呼びかけているが、 被害者は高齢者が多く、 お金もないため債権者集会にも行けず、 情報が届いていない」 と訴えた。 より多くの被害者がさらに解約手続きを行えば、 「その分、 消費税が返ってくる可能性がある」 と、 消費者庁に、 警視庁や法務省と連携して、 顧客名簿を活用した被害消費者への周知の協力を求めた。 
 これに対し、 消費者庁の高田潔次長は、 「188 番等を利用して全国の消費生活センター等まで連絡することを周知している」 と答弁。 大西氏は 「全然答えていない」 「桜を見る会、 後手の対応で被害を拡大させた。 これくらい、 消費者庁が手伝ってもいいんじゃないか」 「(消費者庁は) 立ち入り検査等で、 顧客名簿を持っている」 と再三要請したが、 答弁は 「消費生活センターを通じて、 相談に適切に対応していきたい」 にとどまった。 
  「それじゃあダメなんだ。 もう破綻しているんだから」 と、 大西氏。 「売買が無効になれば、 消費税がなかったことになり、 還付してもらえば、 救済に充てられる」 「これくらいやってほしい」 と、 最後まで消費者庁に対し、 顧客名簿に基づいた被害者への契約解除呼びかけへの協力を強く求めた。

現物なく、売買成立していない
「消費税、本来なら全額返金を」
 財務省に対しては、 「破産管財人が還付申請をしている 10.5 億円が返ってくると、 少しでも、 被害者の救済に充てることができる」 と、 被害者に寄り添った答弁を求めた。 
 これに対し、 伊藤財務副大臣は 「これまでのやり取りを聞いて、 被害者の心中察するに余りあるものがある」 と述べた。 「個別事案には守秘義務が課せられ答弁することは差し控える」 とし、 一般論として 「消費税の還付申告は、 内容を審査した上で適切と判断された場合は、 可能な限り早期に還付するよう努めている」 と回答。 「国税当局として、 個々の事実関係に基づき、 法令等に照らし、 適正迅速に取り扱う」 と説明した。 大西氏は 「国税局の判断を期待したい」 と話した。 
 大西氏は 「今回の還付申請は、 契約解除の申し出があった分だけだが、 (ジャパンライフは) そもそも詐欺で、 売買は成立していない。 現物がない」 とも指摘。 「いちいち申し出をしなくても、 全部消費税は、 本来は返してほしい」 と、 実際に売買取引がない契約の消費税返還を求めた。

詐欺加担者の給与・ボーナス優先
「国民感情から理解得られない」
 さらに、 通常の破産手続きであれば、 労働債権が優先されるのは当然としながらも、 今回のような 「会社ぐるみの詐欺事件で、 被害者の債権よりも詐欺の共犯や加担者の給与やボーナスが優先されるのは、 国民感情からも理解が得られない」 と言及。 特殊なケースではあるが、 オウム真理教事件では立法化をして国の債権の特例を定めた例もあると報告し、 「消費者庁による破産申し立て権の創設を含め、 通常の破産手続きとは違う別の枠組みが必要ではないか」 と、 大臣の見解を求めた。 
 井上信治消費者相は、 「裁判所が選任した破産管財人による破産手続きで処理されると承知している。 現在進行中の債権債務関係に処理についてコメントは差し控える」 と回答を避けた。

「桜を見る会」「後手の対応」で被害拡大
「実効的な制度改革に全力」井上消費者相
 大西氏がジャパンライフ元山口隆祥会長への安倍首相主催の桜を見る会招待状のスライドが勧誘に使われた問題を、 予算委員会で初めて取り上げたのは 2018 年1月 30 日。 「実際に、 被害者の中には、 これを見て総理主催の会に呼ばれる立派な人なら大丈夫だろうと信用した人もいる」 と、 結果として被害を拡大させたのではないかと何度も追及してきた。 
 加藤勝信官房長官 (当時一億総活躍担当相) と山口元会長の会食も勧誘に利用されたことを含め、 新大臣にもその認識を質問。 井上消費者相はこれまでの大臣と同様に、 「個々の招待者や推薦元については従来から回答を控えている」 と答弁し、 一般論として 「桜を見る会や著名人との関係を、 企業や個人の違法・不当な活動に利用されることは容認できない」 とこれまで通りの回答をした。 
 大西氏は、 ジャパンライフの山口元会長ら幹部が9月 18 日に一斉に逮捕されたのは 「あまりに遅すぎ、 安倍総理辞任の2日後というタイミングというのも、 不思議に思う」 と指摘しつつ、 捜査が進む中で 2010 年3月期には債務超過に陥っていたことが分かってきたと報告。 
 消費者庁は 2015 年9月の立ち入り検査で、 実際にレンタルされている商品が 12%しかなく工場に保管されている商品もわずかで、 自転車操業であることを気付いていながら、 1回目の行政処分まで1年3カ月もかかった▽2013 年の秋ごろすでに立入検査が検討されていたが見送られている▽2017 年7月ごろには、 ジャパンライフは社会保険料を滞納し、 事実上破綻状態にあったにもかかわらず、 4回も行政処分をしても結局、 2018 年3月の東京地裁の破産手続き開始決定まで被害を止めることができなかった―点などを挙げ、 消費者庁の対応が後手に回ったことで被害をここまで拡大させてしまったことへの反省の弁を求めた。 
 井上消費者相は、 これについてもこれまでと同様に 「法と証拠に基づき慎重に検討を行った上で可能な限り迅速に行政処分を行った」 との答弁を繰り返した。 大西氏は、 「ある部分では反省しているからこそ販売預託商法の全面禁止踏み切ろうとしている。 真摯にもう少し早く止められたらよかった、 残念と言えないのか」 と再質問。 井上消費者相は 「ジャパンライフ事案も教訓として、 実効的な制度改革に向けて全力で取り組んでいきたい」 と述べた。

畑野君枝氏 預託法改正で追及
「同じ事件繰り返さない対策を」
 日本共産党の畑野君枝氏は、 預託法改正に関連し、 消費者庁の検討委員会報告書が、 販売預託取引契約について、 「消費者に深刻かつ甚大な財産被害を及ぼす恐れが高い反社会性のある行為」 と断じたことを取り上げた。 
 大西氏と同様に、 立入検査を先延ばしにし、 その間に勧誘、 資金集めが続き被害が拡大した▽2015 年9月に立入検査をするも、 1回目の行政処分は 2016 年 12 月▽以降 2017 年 12 月まで4回も行政処分をするも、 以前よりも高利の配当で資金集めを継続し、 高齢者や福島原発被害者らの補償金を狙った営業などを続け、 刑事告発もなしに野放しになった▽2018 年3月にようやく東京地裁の破産手続き開始決定で被害が止まった―点などを指摘。 「二度と同様の事件を起こさないしっかりとした対策をすべき」 と述べ、 「この間の消費者庁の責任をどう捉え、 今後どう対応していくか」 を質問した。 
 これに対し、 井上消費者相はこれまでと同様に 「悪質な法違反事件として全力で取り組んできた」 と答弁。 今後の対応については 「検討委員会の報告書も踏まえ、 具体的な制度設計を行っており、 次期通常国会への法案提出を目指し、 可能な限り早期に成案を得たい」 と述べた。

「すき間生じない法整備を」畑野氏
「潜脱生じないよう鋭意検討」井上消費者相
 畑野氏は、 ジャパンライフが行政処分を受けて新規契約ができなくなっても、 次々に販売取引形態を変えて勧誘を続け、 2017 年 11 月の段階で 「リース債権の譲渡」 という取引形態に変更したと報告した。 それまでは、 年利6%で運用され、 例えば、 100 万円の磁気ネックレスを購入して預託したことにすると毎月 5000 円の配当があったものが、 「5年物、 債権の額面は 100 万円、 譲渡価格は 70 万円、 月額受取債権収入は 5000 円、 年利 8.57%」 と、 さらに高利回りをうたって勧誘していた。 
 全国ジャパンライフ被害弁護団連絡会が、 これらを含めて規制しなければすき間が生じると指摘していることなどを踏まえ、 「すき間、 抜け穴を生じさせない法整備が必要」 と訴え、 大臣の見解を求めた。 井上消費者相は 「ご指摘のように、 規制のすき間や潜脱が生じないよう、 消費者被害防止のために、 真に実効的な制度となるよう、 鋭意検討を進めていく」 と答えた。 
 畑野氏は、 「被害者の思いに寄り添う消費者行政を行うべき」 と要請。 安倍晋三前首相の講演会が高級ホテルで開催した 「桜を見る会」 前夜祭の費用を、 前首相側が費用の一部を補填した問題についても、 「国会の中で徹底的に究明していく必要がある」 とも述べている。

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