日本消費経済新聞は、生活者優先時代を実現するため、消費者行政、消費者問題、企業の顧客対応の情報を全国に発信する専門紙です
 

消費者庁の移転見送り、徳島県庁に研究・分析機関設置

消費者庁移転は見送り

徳島県庁に「新未来創造オフィス」

河野太郎消費者相は7月29日、消費者庁等の全面移転は見送る方針を示した。新たな消費者政策を研究・分析をするための「消費者行政新未来創造オフィス」(仮称)を徳島県庁内に設置し、新しい施策に取り組みながら、霞が関の情報通信システムや交通網などの変化を踏まえ3年後をメドに移転できる業務を見直す考えだ。新設するオフィスの規模は、30人から40人。来年度の概算要求に盛り込む方向で、まち・ひと・しごと創生本部に提案する。新たに取り組む施策の具体例には、不招請勧誘規制やフィンテック(情報技術を駆使した金融サービス)、ブロックチェーン(仮想通貨の根幹となる技術)などを挙げた。

移転、3年後メドに検討

河野消費者相が方針 

同日の閣議後会見で明らかにした。

74日から同日まで徳島県庁で約40人の職員による業務の試行が行われた。

国会対応や危機管理、法執行などは業務の試行は行われず、官邸での事務次官会議にも長官は出張で対応した。セキュリティーを確保するための専用回線は徳島県と消費者庁間しか配備されず、他省庁や国会議員、業界団体への折衝などの試行を行う環境すら整備されなかった。

河野消費者相は、国会対応や危機管理業務などを例に「関係省庁共有のテレビ会議システムがない中で、すべての業務はできない」としつつも、「業務ができないわけではない」と説明。

 「実証試験に基づく分析・研究の中心となる新しい消費者行政の創造の場」として、徳島県庁に新たなオフィスを設置する。

消費者庁の組織は改変せず、各課から職員が参加する。常駐の職員も置く。徳島県や県内の大学、関係団体からも配置する方向だ。

具体的な取り組みの例に、「不招請勧誘規制(要請しない勧誘の禁止など)について徳島県をフィールドとして使い、その成果を全国展開する」ことを挙げた。また、フィンテックやブロックチェーンを例に「消費者のための技術に関する施策は、東京でなくともできる。いかに世界とつながるかを考えれば、新しい創造的な政策を作る場としては徳島県は非常にいい」と述べた。ほかに、消費者教育、倫理的消費、シェアリングエコノミー(インターネットを通じて、モノやサービスを個人間で貸し借りする仕組み)を挙げている。

先駆的商品テストを実施

研修「実施場所は検討」

国民生活センターの研修や商品テストは一部移転する。

北海道や東北から来てもらえなかったとしつつも、「航空路が開拓されれば行けるようになる」と説明。当面は四国や近畿圏など近隣地域の研修を行う。鳴門合同庁舎は交通の便が悪いとの意見があることから、開催場所は今後検討する方針を示した。

国民生活センターの商品テストは、「これまでできなかった先駆的テストを徳島でやるのは非常に意味がある」と説明。実施場所については今後検討する。

人員や予算については、「消費者行政担当大臣と国家公務員担当大臣(双方とも河野大臣)でよく協議する」と説明した。

移転を断念したのかとの質問には、「霞が関、情報通信システム、働き方、徳島に行きづらい現実が変わってくれば、いろんな業務も移転できる」と答え、3年後をメドに見直す方針を示した。
   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇   

菅官房長官「結論は8月末」

「機能低下、予算増では、移転せず」

菅義偉官房長官は同日、「3年もかけて移転を検討する必要があるのか。税金の無駄ではないか」との質問に、「本日試行が終了することを受けて、河野大臣が目指す方向を示した」との認識を示し、「8月末までに結論を得ることを目標にしており、政府全体が目指す方向に向けて結論を出したい」と回答した。

また、政府の方針では、予算の肥大化は認めないとされている。新しいオフィスの創設は予算や人員が純増されなければ後退につながる。「予算、人員を増やすことができるのか」「国民生活センターの商品テストは新しい設備を作るのか」との質問には、「機能が低下したり、予算が余分にかかたりする場合はやらないというのが当たり前。移転することはない」と述べた。