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消費者志向経営とは…

消費者志向経営という言葉を知ってますか?

  消費者志向経営とは、消費者庁の消費者志向経営の取組促進に関する検討会が2016年4月に取りまとめた報告書によると次のように定義されています。

 

 事業者と消費者のコミュニケーションの一層の深化を図ることは、健全な市場の形成を図り、消費者市民社会の実現を目指す上で、非常に重要な活動である。事業者においては事業内容や規模を問わず、その活動に積極的に取り組むことが強く期待される。この考え方の下で、本報告書における「消費者志向経営」とは、基本的に事業者が行う次の活動を意味している。

◆事業者が、現在の顧客だけでなく、消費者全体の視点に立ち、消費者の権利の確保及び利益の向上を図ることを経営の中心と位置付けること。

◆その上で、健全な市場の担い手として、消費者の安全や取引の公正性の確保、消費者に必要な情報の提供、消費者の知識、経験等への配慮、苦情処理体制の整備等を通じ、消費者の信頼を獲得すること。

◆さらに、中長期的な視点に立ち、持続可能で望ましい社会の構築に向けて、自らの社会的責任を自覚して事業活動を行うこと。

 この理念はかなり抽象的な表現であるところ、事業者に求められる行動として、①事業者の組織体制の整備・充実②事業者の消費者に対する具体的行動—の大きく2つに分けられると考えられる。

 

 つまり、「消費者の視点」「健全な市場の担い手」「社会的責任の自覚」を重視した事業経営に努め、事業者として組織体制の整備や具体的な取り組みを進めることが、消費者志向経営ということになります。

 

では、なぜ消費者志向経営が議論されたのでしょうか?

  消費者政策については、今後、政府がどのように取り組んでいくかを取りまとめた計画である「消費者基本計画」(2015年3月24日に閣議決定)で、「事業者が消費者を重視した事業活動、すなわち消費者志向経営を行うことが健全な市場の実現につながる」ものであるという位置付けられており、このことを受けた消費者庁が、消費者志向経営の取組促進に関する検討会と消費者志向経営の取組促進に関するワーキング・グループを設置し、合計9回にわたって、消費者志向経営とは何か、その実施を促進したときに得られる効果は何か、どのような対策を講じることで、その取り組みが促進されるのか—という点を中心に審議しています。

 

 検討会では、事業者の活動における消費者への対応については、消費者の権利、すなわち、基本的な需要が満たされること、安全が確保されること、自主的かつ合理的な選択の機会が確保されること、必要な情報が提供されること、被害が生じた場合には適切かつ迅速に救済されること等が、十分に尊重されることが基本的な課題であると考える。これは、国民の消費生活の中長期的な安定と向上を図るために不可欠なものとして、消費者基本法で、消費者政策の基本理念として掲げられている事項である。このような消費者の権利の尊重が進展すれば、健全な市場の形成を通じて消費者が安心して商品やサービスを購入できるような環境が構築される。さらに、そのような環境が構築されると、消費者の消費に対する満足度が高まるとともに、商品・サービスへの需要の円滑化を通じて事業者の経営にも好影響を与えるという経済の好循環が実現することにもつながると考えられる。

 一方、近年においては、事業者が、社会的責任を自覚して、中長期的な視点に立ち、持続可能な社会の構築に向けて、社会的・環境的に有益な製品・サービスを消費者に提供することで、各種の社会的課題の解決に積極的に取り組むことも求められている。このような事業者の活動の進展は、消費者一人一人が、自らの消費行動が社会 経済情勢と地球環境に影響を及ぼし得ることを自覚して、公正かつ持続可能な社会の形成に積極的に参画していくという「消費者市民社会」の実現の促進に資するものであると考えられる。

 以上のように、事業者においては、経営者や従業員自身も消費者であることを改めて思い起こしつつ、健全な市場の担い手として活躍するとともに、「消費者市民社会」の実現に向けて社会的責任を果たすという観点から、「消費者志向」、つまり消費者・顧客対応を中心課題であると考えるという理念を再認識し、消費者とのコミュニケーションの深化を図ることが、非常に重要な課題となっていると考えられる。

 また、特に経営者においては、消費者からの信頼の獲得に向けて、消費者志向経営を経営戦略と位置付け、事業者全体として取り組むようリーダーシップを発揮し、妥協のない誠実さで取り組むことが求められる。

 

 とも報告書では述べています。

 

 こうした報告書の内容を理解し、消費者志向経営に取り組むことを宣言・具体的取り組み(フォローアップ活動)を進めている事業者は、2017年7月20日現在、48社に上っています。